【小倉記念】ナイスネイチャが小倉3連勝で重賞初制覇 “飛躍の足がかり”となった1991年をプレイバック
緒方きしん

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小倉2連勝で勢い乗るナイスネイチャ
今週は小倉記念が開催される。過去にはロサードやメイショウカイドウ、ドリームジャーニーらが制したレース。今回はそんな中から1991年の一戦をピックアップして当時を振り返っていく。
当時の小倉記念は8月末の開催。この年は出走10頭中6頭が単勝オッズ一桁台という混戦模様で、4歳世代(現表記で3歳世代)と古馬が激突する構図になっていた。
古馬勢の中心は、2頭の牝馬。イクノディクタスは重賞1勝、オープン2勝という実績馬で、前年には桜花賞、オークス、エリザベス女王杯と牝馬三冠に挑み、エリザベス女王杯では4着と健闘していた。直近の小倉日経賞で3着、北九州記念で2着と、小倉で好走を続けていたことや、年明けからすでに10戦を消化していたタフさも魅力で、2番人気の評価を得た。
もう1頭の有力牝馬ヌエボトウショウも同じく、小倉日経賞→北九州記念からの臨戦。直近2走はいずれも1番人気に推されながら2着→3着と惜敗していたが、安定感という意味では抜群で、ここでも3番人気の支持を得た。
上記2頭を抑えて1番人気となったのが、4歳馬のナイスネイチャだった。休養明けだった3走前のなでしこ賞こそ2着に敗れたが、舞台を小倉に移すと2連勝。いずれも2着に差をつけた快勝で、勢いに乗っての小倉3連勝を狙っていた。
他にも、きさらぎ賞、スプリングSの勝ち馬シンホリスキー、小倉記念連覇を狙うスノージェットなど、少頭数ながら骨太なメンバーが揃っていた。
有力牝馬2頭を退け、完勝
ほぼ揃ったスタート。ナイスネイチャが一瞬だけ難しさを見せるが、すぐに松永昌博騎手に促されて好位につける。先頭を走るのはシンホリスキーとイクノディクタス。ヌエボトウショウは後方にポジションを取った。隊列は前後に分かれ、やや間隔を空けた状態でレースが進む。
1コーナーに入ると、逃げるシンホリスキーの鞍上・熊沢重文騎手がペースを緩やかにする。2番手となったイクノディクタス以下、後続もゆったりと追う。ナイスネイチャは4番手に構えていた。
向正面に差し掛かっても、隊列は大きく変わらない。依然として馬群が2分割されるような形で進んでいく。ナイスネイチャと松永騎手は、じっくりとライバルたちの出方を窺っている。なかなか仕掛ける馬が出てこず、戦況は膠着して見えた。
レースが動いたのは3コーナー手前。各馬が一斉に仕掛け始める。後方集団にいたヌエボトウショウが外から猛然と追い込み、4コーナーでは先行集団をとらえる勢いを見せる。ナイスネイチャ、イクノディクタスらもスピードを上げていった。
直線入口では馬群が横に大きく広がり、5頭が並ぶような形で追い比べとなる。逃げるシンホリスキーをイクノディクタスが交わして先頭に立つ。しかし、その外からナイスネイチャがすぐに抜き去る。それでもイクノディクタスは食い下がり、ヌエボトウショウも直後を追いかける。
最後までナイスネイチャの脚色は衰えなかった。2着ヌエボトウショウに2馬身差をつけて悠々とゴールイン。さらに半馬身差の3着にはイクノディクタスが粘り込んだ。逃げたシンホリスキーは直線で伸びあぐね、8着に敗れた。
まだ三連単どころか馬連すら売られていない時代。それでも、1番人気ナイスネイチャと3番人気ヌエボトウショウとの枠連は1000円となった。ファンにとって、馬券の取捨が難しい一戦だったに違いない。
ジョバンニが重賞初制覇を目指し小倉へ
ナイスネイチャは3連勝で小倉記念を制し、重賞馬の仲間入りを果たした。さらに続く京都新聞杯も制して4連勝。菊花賞ではレオダーバンに敗れたが、その後も鳴尾記念1着を挟み、有馬記念では3着と善戦した。
上記の4歳シーズンは1年で10戦をも消化したが、翌年は骨膜炎の悪化で春を休養。秋の4戦に絞って挑み、そのうち3戦、毎日王冠、マイルCS、有馬記念で3着に入った。さらに翌年にも阪神大賞典、毎日王冠、有馬記念で3着となったことで、「ブロンズコレクター」としても親しまれるようになった。
そんなナイスネイチャは種牡馬生活を経て、引退功労馬として余生を過ごした。2021年以降はJRA重賞勝ち馬として存命最年長となり、同年誕生日の『バースデードネーション』では約3582万円もの寄付が集まった。
2017年には20万円に満たなかった寄付が、様々なコンテンツの後押しもあって大きな波となったことは、引退馬支援の可能性を広げたと言えるだろう。3年連続の有馬記念3着、そして記録的な長寿と、語り継ぐべき勲章の多い名馬である。
さて、今年の小倉記念にも重賞初制覇を狙う素質馬たちが集まった。なかでも、小倉で1戦1勝、GⅠでも好走歴があるジョバンニが、どのような走りを見せてくれるのか、期待を寄せるファンは少なくないだろう。
1991年のナイスネイチャが小倉記念を足がかりに飛躍したように、今年もこの一戦から新たなスター候補が現れるのか。夏の小倉での熱い戦いに注目したい。
《ライタープロフィール》
緒方きしん
札幌生まれ、札幌育ちの競馬ライター。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、スウィフトカレント、ドウデュース。
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