【北九州記念】故郷に初タイトルを届ける差し切りV 九州産馬ヨカヨカが制した2021年をプレイバック

緒方きしん

プレイバック2021年 北九州記念,ⒸSPAIA

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ハイレベルなメンバーが集結

今週は北九州記念が開催される。2006年から現行の芝1200mで行われるようになり、過去にはスリープレスナイトやリトルゲルダ、ベルカントらが制したレースだ。今回はそんな中から2021年の一戦をピックアップして当時のレースを振り返っていく。

この年はハイレベルなメンバーが揃い、6番人気までが単勝オッズ10倍以内という混戦模様。どの馬にもチャンスあり、という見方が強かった。

そのなかで単勝4.3倍の1番人気に推されたのがジャンダルム。2歳時にはデイリー杯2歳ステークスを制し、ホープフルSでも2着に食い込むなど、早くから世代トップクラスの実力を示していた素質馬だ。

3歳秋からはマイル路線に絞り、京成杯オータムハンデ3着など古馬相手に好走。そこからさらに距離を縮め、6歳でスプリント路線に転向する。その初戦となった春雷S(L)で2着に2馬身半差をつける快勝を収め、そこから挑んだのがこの北九州記念だった。

2番人気のモズスーパーフレアはジャンダルムと同じ6歳も、こちらは生粋のスプリンターとして活躍を続けてきた牝馬。前年には重馬場の高松宮記念を制している。北九州記念は過去に2度出走して4着、2着。前走の高松宮記念も5着に敗れたとはいえ0秒3差と実力は健在で、こちらの上位人気も納得だ。

このほか、前年に北九州記念3着からスプリンターズSでも3着と好走したアウィルアウェイが3番人気で続き、前走のCBC賞をレコード勝ちしたファストフォースが4番人気、シゲルピンクダイヤの半妹で同年のフィリーズレビュー覇者でもある3歳馬シゲルピンクルビーが6番人気となった。

この強力なメンバーのなかで、5番人気となっていたのが熊本うまれのヨカヨカであった。

前年6月に阪神の新馬戦でデビュー勝ちを収めると、小倉でフェニックス賞、ひまわり賞とオープンを連勝。ファンタジーSでは5着に敗れたが、2歳女王決定戦・阪神ジュベナイルフィリーズは10番人気5着と健闘した。

その年の阪神JFといえば1着ソダシ、2着サトノレイナス、3着ユーバーレーベン、4着メイケイエールという超ハイレベルな一戦。実際、ヨカヨカも次走のフィリーズレビューやその後の葵Sでも2着に入るなど、世代上位の実力は見せていたが、重賞には手が届かずにいた。

CBC賞5着を経て、次なる舞台に選んだのが北九州記念。地元九州で待望の重賞タイトルを。多くの人がその走りを見守っていた。


雨中の熱戦、豪快な差し切り

レースは揃ったスタートから、モズスーパーフレアが好ダッシュを見せる。そこについていくのがファストフォースで、外からファンタジステラとヨカヨカも前へ。さらに最内枠のボンセルヴィーソも食らいつく。

序盤から前をいく馬たちが入れ替わる激しい展開になったが、先頭のモズスーパーフレアは譲らず、むしろ2番手を突き放していく。2番手におさまったのはボンセルヴィーソで、ヨカヨカは外を回りながら3番手集団。その内側にファストフォースという並びで、上位人気のジャンダルムとアウィルアウェイは後方集団で仕掛けどころを窺っていた。

雨の小倉。稍重の芝を18頭の快速馬たちが駆け抜ける。内を選択する騎手、外を選択する騎手。様々な思惑が交錯する。ラチ沿いを進むのはモズスーパーフレアとボンセルヴィーソ、ファンタジステラ。外を回ったファストフォースとヨカヨカ。隊列は早くも横に大きく広がっていた。

直線に入る。依然としてモズスーパーフレアが猛然と突き進む。このまま逃げ切る構えだ。2番手のボンセルヴィーソが仕掛けるが、届きそうにない。逆に、外から勢いよく伸びてきたのがファストフォースとヨカヨカ。ジャンダルムはまだ後方だった。

外の2頭が並走しながら伸びてくるか、と思ったのも束の間、ヨカヨカがもう1段階ギアをあげる。GⅠ馬モズスーパーフレアも凄まじい粘りを見せたが、鞍上・幸英明騎手の懸命のアクションに応えたヨカヨカが差し切った。熊本県産馬としては史上初となるJRA重賞制覇の快挙だった。

2着にはファストフォースが入り、逃げたモズスーパーフレアが3着。5番人気→4番人気→2番人気と比較的人気サイドで決着となったが、ヨカヨカ絡みの馬券はワイドでもファストフォース相手で1560円、モズスーパーフレア相手で1200円の好配当となり、3連単も5万1840円ついた。なお、1番人気ジャンダルムは7着、3番人気アウィルアウェイは14着に敗れている。


注目の3歳牝馬、今年はデアヴェローチェが出走

ヨカヨカはその後、スプリンターズS出走を目指して調整していたが、骨折により引退。繁殖牝馬となった。

キズナとの間に生まれた初仔のヨカオウは昨年デビューを果たし、昨年12月に初勝利を挙げている。なお、北九州記念が行われる7月5日(日)の小倉9R・青島特別への出走登録があり、こちらも注目を集めそうだ。

このほか、2着のファストフォースは2年後の2023年に高松宮記念を制覇。引退後は種牡馬となり、2025年に最初の世代が生まれた。

7着に敗れたジャンダルムもまた、2022年にスプリンターズSを制して種牡馬入り。初年度産駒が今年デビューを迎えたが、ジャンダルム自身は残念ながら2025年2月にこの世を去っている。遺された産駒たちの活躍に大いに期待したい。

最後に、今年の北九州記念についても。登録13頭と比較的手ごろな頭数となったなか、3歳牝馬ではデアヴェローチェが出走を予定している。

こちらはノーザンファームの生産馬で熊本県うまれのヨカヨカとは背景が異なるが、フィリーズレビューや葵Sといった出走歴には重なる部分もある。果たして、若き牝馬は歴戦のスプリンターたちを相手にどのような走りを見せてくれるのだろうか。

《ライタープロフィール》
緒方きしん
札幌生まれ、札幌育ちの競馬ライター。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、スリープレスナイト、ドウデュース。

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