【函館2歳S回顧】世代最初の重賞ウイナーはフェリチタ 光ったレースセンスの高さ

勝木淳

2026年函館2歳S、レース結果,ⒸSPAIA

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タフな馬場で行われた2歳重賞

2026年函館開催最終日のメインレース・函館2歳ステークスはフェリチタが勝利し、世代最初の重賞ウイナーに輝いた。以下、2着はイモージェン、3着ダイシンドラゴンで決着した。

6週間の函館開催は、昨年と比べて全体的に時計を要する開催だった。昨年はクッション値が7.0を下回った日が2日にとどまり、最低でも6.8。最高は8.0を記録し、洋芝としては硬めの馬場だった。一方、今年は7.0以上だった日が4日間しかなく、最高でも7.3。最低値は最終日に6.0を記録した。

開幕週から雨の影響を受ける開催で、それでも2週目までは開幕したての馬場らしく、クッション値が6.5を下回ることはなかったが、3週目には6.2まで下がった。クッション値が高かったのは4週目(7月4~5日)の土曜7.1、日曜7.3で、最高値は最終週土曜日の7.7。その後、雨が降って最終日は6.4まで下がった。

こうしたクッション値の推移は、函館2歳Sを読み解くカギとなった。最終日に6.4まで下がったことで、軟らかい馬場を走った経験はプラスになり、逆にもっとも状態がよかった4週目を走った馬たちは苦戦した。

勝ったフェリチタは2週目日曜の新馬デビュー。この日のクッション値は6.7で、開催を通じて平均的な馬場を経験していた。

なにより、フェリチタは前走で函館芝1200mを逃げ切っていた。函館2歳Sは同コースの新馬戦を逃げ切った馬の成績が極めてよくない。ほとんどが新馬を逃げ切った直後に迎える重賞となるため、前走と同じ形をとれるのは一頭しかいない。その一頭を除けば、みんなはじめて控える競馬を試されることになる。

キャリアの浅い2歳馬にとって、競馬の形をいきなり変えるのは受け入れがたく、戸惑うのが当然だ。それが逃げ切り苦戦のデータに出ている。


鞍上の指示を受け入れたフェリチタ

しかし、フェリチタは好位の4~5番手に控え、直線で抜け出すという前走とはまるで違う競馬を受け入れた。このセンスは光る。繰り返すが、この場合、新馬で出した力を出せずに終わるケースが大半。控えてさらにパフォーマンスをあげたことの価値は大きい。

レースの流れは厳しかった。前半600mは12.2-11.0-11.0、34.2。最終レースの古馬1勝クラス戦が34.5であり、2歳馬にとって速い流れだった。後半600mは12.0-12.0-12.2、36.2。明らかに上がりを要したタフな戦いを、フェリチタは抜け出した。

序盤は前に行きたがる姿勢を見せるも、鞍上が引くように指示するとそれを受け入れ、ひと呼吸おいてスパート。コーナーで加速しきれなかった分、直線は伸びた。鞍上の指示を受け入れて走れる賢さを踏まえれば、距離はもう少し長くてもよさそうだ。

父タワーオブロンドンはシンコウエルメスの血を引くスプリンターだったが、代表産駒のパンジャタワーはNHKマイルカップの勝ち馬。距離の守備範囲は狭くない。

産駒全体の距離成績をみても、1400mの勝率は1200mとほぼ同じ。マイルになると2、3着が増加するので1400mまでかもしれないが、スプリンター専門の血でもない。2歳戦なら、折り合いひとつで1600mまでこなせるのではないか。


距離延長で期待できる2、3着馬

2着イモージェンはフェリチタより前で流れに乗り、抜群の手応えで直線に向いたものの、追い出すと若干バランスを崩す場面があった。

それでも、すぐさま立て直してシグレの内に進路を定め、スパートしてきた。勝ち馬との差は着差通りわずかであり、最後も止まっていない。こちらも距離はもう少しあっていい。今後も楽しみだ。

3着ダイシンドラゴンはフェリチタの背後から進め、ハイペースに巻き込まれることなく走って直線にかけたが、直線に入ってからの反応がフェリチタより遅く、その分だけ離されてしまった。

それでも、トップスピードに入った残り200m過ぎからの末脚は目立っており、こちらも距離延長に期待できる。

1番人気シグレは5着。こちらは冒頭で指摘した新馬逃げ切り直後の難しさもあったか。逃げて圧勝した新馬戦は良馬場で前半600m34.7。重馬場の34.2とは勝手が違っており、控える競馬、ようは前を追いかける競馬に対応しきれなかった。

終始促しながらの追走だったのは馬場の影響もあり、今回は色々な要素が重なってしまった。それでも、控えたことで競馬を覚え、改善されるのではないか。良馬場で見直したい。


2026年函館2歳S、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 世界への挑戦』(ガイドワークス)に寄稿。

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