【大阪杯】上昇期待のダノンデサイルが本命 穴馬はセイウンハーデス

山崎エリカ

2026年大阪杯のPP指数,ⒸSPAIA

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例年以上に強豪が集う

大阪杯の舞台となる阪神芝2000mは初角までの距離が325mと短く、スタート直後に上り坂もあるため、ペースが上がりにくい。このため、GⅠ昇格後の過去9年で逃げ・先行馬が7勝。2018年にスワーヴリチャードが後方待機策から勝利しているものの、同馬もマクリを打って3角では先頭だった。

コースの特性を考慮しても、芝2000mのGⅠでこれほど逃げ・先行馬が活躍するというのは異常だが、レイパパレが逃げた2021年、ジャックドールが逃げた2023年、デシエルトが逃げた2025年はハイペースとなっている。つまり、展開上は差し馬に向いているはずが、超一流馬のドバイ遠征と時期が重なっていることもあって“差せる実力馬”がおらず、結果的に前が残っているということだ。

その点、今年はマスカレードボールやミュージアムマイルこそ不在だが、例年以上に強豪が集った。ここでメイショウタバルが逃げる展開となれば平均よりも速い流れが視野に入るだけに、差し馬を警戒したい。


能力値1~5位の紹介

2026年大阪杯のPP指数一覧,ⒸSPAIA


【能力値1位 ダノンデサイル】
昨年から戸崎圭太騎手に乗り替わり、末脚を活かす形で上昇。昨春のドバイシーマクラシックでは、後にジャパンカップを制するカランダガンを2着に下して勝利した。

同レースでは3番枠から五分のスタートを切ったものの、外にヨレる場面も。そこから立て直して中団中目を追走した。道中は超スローで掛かり気味。向正面でレベルスロマンスが捲ってもさほどペースは上がらなかったが、ここでも動かずに中団最内で脚を溜める。

3角でも中団最内で進め、4角でじわっと仕掛けながら、上手くシンエンペラーの後ろから直線は外に誘導。序盤で3列目からすっと伸び、ラスト2Fで先頭に並びかける。ラスト1Fで抜け出したところをカランダガンが詰めてきたが、リードを守って1馬身1/4差で勝利した。

このときは5F通過がおおよそ65秒という超絶スローペース。カランダガンの徹底マークを受けたが、ラスト3Fで仕掛けて外に出してからの反応が鋭く、ラスト1Fで見せた一瞬のキレはすさまじかった。

2走前のジャパンCは海外遠征後の一戦で、急仕上げでありながら同年1月のアメリカジョッキークラブC時との比較で馬体重も減らしており、3着に惜敗。前走の有馬記念もジャパンCである程度力を出し切ったことで全開とはならず、ここも3着に惜敗した。

今回はそこから立て直されての一戦で、体調面の上昇が大いに期待できる。本命候補だ。

【能力値2位 クロワデュノール】
前走・ジャパンCはダノンデサイルと1馬身差の4着。ここでは2番枠から好スタートを決め、二の脚の速さでハナへ。外からハナを主張したセイウンハーデスを行かせながら控え、1角で3枠2頭を前に入れて3列目の内を追走した。

向正面では大逃げのセイウンハーデスから離れた4番手で、内から中目に誘導。3~4角では外からカラ馬が上がっていくなかで少し仕掛けを待ち、4角で外に誘導して直線へ。序盤で2列目にすっと上がり、ラスト2Fでは抜け出して先頭に立ったが、外の2頭にかわされて3番手。ラスト1Fで甘くなり、内のダノンデサイルにもかわされて4着までという内容だった。

当時はコンクリートレベルの高速馬場で、前後半5F57秒6-59秒1というかなりのハイペース。前にはかなり不利な展開で強気に乗り過ぎた。それでも、先行勢では唯一掲示板入りを果たしている点は高評価できる。

このときのレース内容はダノンデサイルよりも上だが、今回は自己最高指数を記録した後の一戦。そのうえジャパンCがレコード決着で消耗度の高いレースになっているだけに、ここでピークに持ってくるのは困難とみる。能力の高さでどこまで上の着順を狙えるか、という戦いになるだろう。

【能力値3位 デビットバローズ】
前走・鳴尾記念で初重賞制覇を達成。ここでは10番枠からまずまずのスタートを切り、二の脚の速さで楽に先行したが、外から掛かってハナを主張したドゥラエレーデに内の2頭が競っていったので、途中で切り替えて4番手に収まる。

道中も前3頭から離れた4列目の外で無理なく進め、3角でも仕掛けを待ち、4角でじわっと進出して3列目の中目で直線へ。序盤で軽く追われると一気に伸びて先頭列まで上がり、ラスト1Fで内から食らいつくセンツブラッドを突き放して2馬身差で完勝した。

当時はコンクリートレベルの高速馬場で、前後半4F45秒4-46秒6という緩みない流れ。前には不利な展開だったが、上手く控えて脚を溜めたことで展開にも恵まれ、ここでは4走前の大阪城S(L・阪神芝1800m)と同等の自己最高指数タイを記録している。

かつては揉まれ弱い面があり、2桁着順に崩れたことも2度あったが、去勢手術を経て5走前の洛陽Sで復帰すると、その効果がてきめん。折り合いに進境が見られ、ゲートや二の脚の速さを利してペースが遅ければそのまま先行し、前が飛ばしていけば控えていくスタイルで大崩れしなくなった。

3走前のエプソムCでは9着敗退があったが、このときは「超」がつくほどの高速馬場ではなかったとはいえ、レコードタイムで決着しているように緩みない流れ。前に不利な展開で好位の外を追走し、速い流れに乗り過ぎたのも敗因のひとつで、また大阪城Sで好走した後の疲れもあったと推測される。

今回は前走後に休ませているとはいえ、疲れが残っている可能性が高く、能力全開とはならないだろう。ただし、本馬は今回がGⅠ初出走で強豪と戦っていないせいか、驚くほどに人気がない。2桁人気ならば相手候補に加えてみるのもありだ。

【能力値4位 マテンロウレオ】
昨年のAJCCではダノンデサイルと3/4差の2着。ここでは11番枠からまずまずのスタートを切り、押して先行。ダノンデサイルの進路をカットして2列目の外に収めた。

道中は2列目の外でチャックネイトをマークしながら進めていたが、向正面でコスモキュランダのマクリが生じ、3列目の外に下がってしまう。3~4角でも前のアウスヴァールが下がってきたため進路が作れず、4角で外に出してじわっと仕掛け、2列目内から直線へ。

直線序盤で内から先頭のコスモキュランダに並びかけ、ラスト1Fで同馬を競り落としたが、最後はまとめてダノンデサイルに差し切られた。

当時はやや時計の掛かる馬場で、前後半5F60秒6-59秒6のハイペース。これを先行策から粘ったことは高評価できる。ただし、このレースが消耗度の高いレースになったことでダノンデサイル以外の上位馬はその後スランプとなり、3着馬コスモキュランダは昨年暮れの有馬記念(2着)まで馬券に絡むことができなかった。

本馬もしばらく不振だったが、2走前の鳴尾記念は3着、前走のAJCCも4着と善戦。ともに差し有利の展開で、内枠を利して中団最内を上手く立ち回ることができたとはいえ、復調気配を見せている。

また、本馬はキャリア通算で1着3回、2着3回の実績があり、この連対は全てが芝2000m~芝2200mでのもの。「超」がつくほどの高速馬場ではなかった2023年の大阪杯では、ジャックドールが逃げるハイペースの3番手を追走して0秒4差の実績もある。さらに好走時の大半が内枠で、外枠でも内から競馬をしている点がポイントだ。

今年は相手が強くなるが、ここ2戦のようなコンクリートレベルの高速馬場ではなく、ある程度時計が掛かる馬場になりそうな点は好ましい。ロスのない立ち回りも可能な2番枠でもあり、今回は警戒が必要だ。

【能力値5位 メイショウタバル】
昨年の宝塚記念で初GⅠ制覇を達成。12番枠からまずまずのスタートを決めた後、内の馬と軽く接触したが、コントロールしながらハナを主張。道中は1F12秒前後を維持して淡々と逃げ、縦長の隊列を作って3角を迎える。

3~4角でベラジオオペラら2列目勢が外から仕掛けて上がってくると、4角出口で本馬も仕掛けて最内に切り、1馬身半ほど前に出る。序盤で抜け出して2馬身差。ラスト1Fでは追撃するベラジオオペラのほうが甘くなり、3馬身差で完勝した。

当時は標準馬場で、6F通過が1分11秒3という短距離戦並みの緩みない流れ。本馬はこのように淡々と逃げ、最後まで粘り通すレースが得意だ。

2走前の天皇賞(秋)はコンクリートレベルの高速馬場で、前後半5F62秒0-56秒6の超絶スローペース。日本の芝2000mのGⅠではこれまでに見たことがないほどペースが遅かった。結果的に外差し勢の決め手に屈する形になったが、ラスト2Fでいったんかわされたタスティエーラをラスト1Fで差し返しているように、決してバテたわけではない。

ただし、前走の有馬記念では行きっぷりがひと息で、かなり掛かって2角から先頭へ。距離が長かったにせよ、良い頃のしぶとさが見せられず13着に敗れた。

本馬は大逃げがベストだが、序盤から押して行くと掛かる面があり、鞍上の武豊騎手も最近は上手く折り合いがつけられなくなっている点が不安。評価を下げたい。


穴は控えた時のセイウンハーデス

セイウンハーデスは昨年のエプソムCで重賞2勝目を達成。大外16番枠から好スタートを決めたが、無理をさせずに控えて好位の外を追走。道中では少し促しているが、位置が下がって中団外目。3角手前で外のダノンエアズロックを行かせ、その後ろで3角に入る。

3~4角でも同馬の後ろを通し、4角出口で外に誘導。序盤で追われてエンジンが掛かると、ラスト2Fで一気に突き抜けて2馬身ほど前に出る。ラスト1Fで馬場の良い内に切りながらリードを広げたところ、外からドゥラドーレスがやってきたが、余裕を持って1馬身3/4差で完勝した。

このレースは1分43秒9のコースレコードで決着しているように、高速馬場で前後半5F46秒0-46秒6の緩みない流れ。ラスト2Fで前が早々とバテたところを、一気に突き抜けての勝利だった。

本馬は極悪馬場で逃げ馬不在だった2023年の新潟大賞典でも、淡々としたペースで逃げて3着に8馬身差をつける高指数の2着があるように豊富なスタミナがある。2走前のジャパンCはそれも考慮して逃げたのかもしれないが、津村明秀騎手が逃げたときはオーバーペースになることが多く、このときも暴走レベルの逃げだった。

そこから立て直された前走の中山記念も13着に敗退。ここでは単騎で逃げたが、2角辺りから酷く掛かってラスト5F目から1F11秒5以下を刻む形。結果的に仕掛けが早くなってしまった。

逃げること自体は悪くないが、折り合いがつかなくなってきているので、現状は控える競馬がベスト。陣営は「馬群の外から最後に脚を使わせるような競馬を考えている」とコメントしており、中団外からじわっと押し上げていく形なら面白い。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ダノンデサイルの前走の指数「-23」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.3秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

《ライタープロフィール》
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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