【京都記念】ジューンテイクが持続力を生かして押し切る 藤岡佑介騎手のヘッドワークも際立つ

勝木淳

2026年京都記念、レース結果,ⒸSPAIA

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果敢に逃げたバビット

伝統のGⅡ京都記念はジューンテイクが勝ち、重賞2勝目。2着エリキング、3着エコロディノスで決着した。競馬の2月は別れの季節だ。定年を迎え、解散する厩舎、そして新たに調教師になるために引退する騎手。さらにこの時期は競走馬にとっても節目となる。

京都記念で果敢に逃げたバビットは事前にこれが最後のレースになると発表されていた。2歳11月に京都競馬場でデビューしてから約6年半。3度の長期休養を乗り越え、逃げ先行で競馬界を盛りあげてきた。

重賞タイトルはラジオNIKKEI賞、セントライト記念のふたつ。京都記念は2年前に2番手から粘り、3着に入った。最後のパートナーは前年京都記念4着時と同じ若武者・高杉吏麒騎手。悔いなきレースを目指し、果敢に逃げを打った。

1000m通過は1:01.8。昨年の1:02.9よりは速いものの、ペースは同じくスロー。25回目の競馬に挑むバビットに逸る気持ちはない。落ち着いて淡々とベテランらしく静かに、かつ着実にレースを進めていく。

中盤から後半にかけ、さらにペースを落とすという味な競馬を展開し、スパートのときを待った。だが、そんなバビットの作戦に異を唱えたのが2番手にいたジューンテイクだった。鞍上は間もなくステッキを置き、騎手生活を終える藤岡祐介騎手。バビットに競りかけるようなモーションをかけ、ペースを上げさせた。

1200~1400m12.7のあとは11.9。あえて先手を打ち、持続力勝負に持ち込んだ。バビットは結果として動かされてしまった。機先を制した藤岡祐介騎手のヘッドワークが光った。


適性が明暗をわけた1、2着

下り坂からラスト3Fは11.4-11.1-11.4。後ろが仕掛ける態勢を整える前に引き離したことがジューンテイクの持ち味でもある持続力につながった。

この冬の京都芝は時計が速いが、どうにも走りにくい。荒れ馬場特有の走りのバランスと体幹、そしてスピードが必要だった。なかなか直線勝負に徹すると勝つのは難しい。猛然と突っ込んできたエリキングはさすがの末脚だったが、差し切るまでに至らず。ジューンテイクが先に動いたことが効いた。

2頭は同じキズナ産駒だが、タイプが少し違う。エリキングはデインヒル肌にサドラーズウェルズの血が入った母系であり、どちらかといえば急かさず、末脚に徹したい。

かたやジューンテイクはツィンクルブライドの牝系にシンボリクリスエスが加わり、ロベルト色が濃い。母アドマイヤサブリナがスプリンターだったように、先行押し切りで強みをいかせる。

適度なスピードの血が荒れた京都の馬場にマッチした。自らレースを動かして押し切ったのも今後につながってくるだろう。主戦騎手として次にバトンをつなげる騎乗は責任感が強い藤岡祐介騎手らしく、心から祝福したくなる競馬だった。


2着エリキングの今後

2着は4歳エリキング。菊花賞と同じく、現状の自分の強みをきっちり発揮した競馬だった。ゴール前の迫力はさすがの一言も、どうもトップスピードに入り切るまでに少し時間を要するようだ。遅れ差しまではいかないが、瞬時に動けないゆえに惜敗を喫してしまう。

距離なのか馬場なのか。その原因はなんともいえない。ややモタつく面は2歳の頃から見せており、今後はそことどう付き合っていくかだろう。距離を延ばすのもひとつの手だろう。少なくとも2000mは忙しいように感じる。2400mぐらいなら、さらに仕掛けから反応までスムーズにいくのではないか。

3着エコロディノスはジューンテイクの後ろから競馬を進め、その早めの仕掛けを味方につけ、自分の強みをいかせた。キャリア8戦【4-0-3-1】の堅実派は上がり600m33秒台を記録したことがない。4勝の上がり600mは34.8、35.2、34.2、35.0。このうちレース最速を記録したのは34.8、35.2の2度しかなく、強気に攻めていくと持ち味を発揮する。

ジューンテイクの仕掛けと荒れた馬場が追い風となった。今後も展開や馬場を吟味したうえで取捨選択したい。

2番人気ヘデントールは8着。長期休養明けの影響に加え、走りにくい馬場も合わなかったようだ。どちらかというときれいな馬場で力を出すタイプであり、本来の行きっぷりがなかった。季節が進み、馬場状態が改善されるだろう次走に期待したい。


2026年京都記念、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。

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