【小倉牝馬S】データから浮上したのは「前走同距離組」 レディーヴァリュー、クリノメイが好条件に合致

勝木淳

16年以降の小倉芝2000mデータから見る小倉牝馬S,ⒸSPAIA

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冬の小倉、開幕

冬の小倉が開幕する。1回小倉は3月1日まで6週12日間。西に開けた小倉競馬場は夏こそ強烈な日差しに苦しめられるが、冬は晴れてさえいれば、午後に向かって徐々に気温が上がっていき、太陽のありがたみを感じることができる。関東と比べると日照時間も長く、快適といえば快適。ただし、晴れてくれればだ。

冬の北九州は大陸から流れ込む寒気をまともに受ける。天候は崩れがちであり、降雪の心配があとをたたない。今年も開催中止など不測の事態に陥らないよう祈る。

“フユコク”の平地重賞といえば、開幕週の小倉牝馬Sと後半の小倉大賞典。どちらも芝中距離のハンデ戦であり、馬券の難易度は高い。昨年の第1回小倉牝馬Sは7番人気フェアエールングと3番人気シンティレーションが1着同着。10着まで0.4差以内の大激戦だった。

参考にできるデータは昨年1レースのみなので、ここでは2016年以降、小倉芝2000m古馬3勝クラス以上28レースを使用し、コース傾向を調べていく。

人気別成績,ⒸSPAIA


芝2000mは小倉記念と同じ舞台であり、小倉芝のなかでは比較的紛れが少ないコース。4コーナー奥の引き込み線からスタートし、正面スタンド前直線を目一杯使う序盤は先行勢も枠に関係なく、前につけやすい。

昨年の小倉牝馬Sのようにハイペースになることもあるが、ポイントは1、2コーナーの上り区間。2コーナー通過後から下りに突入するレイアウトは序盤の上りでいかに消耗しないかにかかっている。とはいえ、スパイラルカーブが採用されており、2000mは全体的にはクセが少ない。

人気別成績をみても、1番人気【8-1-1-18】勝率28.6%、複勝率35.7%、2番人気【7-4-5-12】勝率25.0%、複勝率57.1%、3番人気【4-6-2-16】勝率14.3%、複勝率42.9%と上位人気はさほど崩れない。

4~8番人気に大きな差はなく、10番人気以下の大穴は【2-2-3-89】勝率2.1%、複勝率7.3%と小倉のイメージほど激走はない。と書きつつ、昨年の小倉牝馬Sは1着3、7番人気→3着5番人気で決着しており、油断できない。

年齢別成績,ⒸSPAIA


小倉は夏と冬しか開催がなく、夏の3勝クラス以上にほとんど3歳馬が出走しないという特殊な状況なので、年齢別の成績を出す。

4歳は【14-7-9-46】勝率18.4%、複勝率39.5%。夏と冬では4歳といっても世代が異なるものの、やはり若い組が強い。5歳が【7-13-9-86】勝率6.1%、複勝率25.2%と2着が多いことを踏まえると、組み立ては4歳中心でよさそうだ。

同距離組は「前走クラス」「脚質」を確認

今年の顔ぶれで中心となるのは、近況で考えると、札幌記念2着ココナッツブラウン、秋華賞4着ジョスラン、福島記念3着パレハあたり。昇級組も合わせ、ハンデ戦らしい混戦になりそうだ。

前走距離別成績,ⒸSPAIA


前走距離で好走ゾーンを探ると、前走同距離が【19-12-15-113】勝率11.9%、複勝率28.9%と、延長組【6-11-9-98】勝率4.8%、複勝率21.0%、短縮組【4-4-4-47】勝率6.8%、複勝率20.3%をリード。まずは同距離組に注目すべきだろう。

前走2000m・着順別成績,ⒸSPAIA


前走2000m組の着順内訳を出す。1着馬【4-1-3-18】勝率15.4%、複勝率30.8%のうち、条件戦1着に絞ると【3-1-3-15】勝率13.6%、複勝率31.8%。重賞も24年愛知杯1着ミッキーゴージャス、25年小倉記念2着シェイクユアハートと好走馬を出した。

今年は大原Sを勝ったレディーヴァリューが該当する。昨年3戦3勝でオープン入り。3連勝は京都、中京芝2000mで先行抜け出しの形。すんなり流れに乗れる状況なら評価できる。

強力なのは前走2着【5-0-1-6】勝率41.7%、複勝率50.0%。クセの少ないコースらしく、前走惜敗が勝利への近道だ。これを除くと状況は少し難しく、前走6~9着【6-7-2-32】勝率12.8%、複勝率31.9%など凡走組の巻き返しもある。

前走2000m・6~9着馬・位置取り別成績,ⒸSPAIA


で、6~9着馬のうちどんな馬を評価すべきなのか。前走位置取りをみると、中団【3-2-2-11】勝率16.7%、複勝率38.9%、後方【3-1-0-9】勝率23.1%、複勝率30.8%と差し馬勢が目立つ。

この条件に当てはまってくるのが福島記念9着クリノメイ。前走は1000m通過1:01.1のスローペースから上がり600m11.9-11.3-11.0の瞬発力勝負だった。レディーヴァリューとは正反対で、ロングスパート勝負になるなら浮上していい。

16年以降の小倉芝2000mデータから見る小倉牝馬S,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。

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