【阪神JF】重賞ウイナー不在の大混戦 割引データを“唯一”突破したスターアニスを本命視

門田光生

阪神JF 過去10年の前走馬体重別成績,ⒸSPAIA

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前走勝ち馬が15連対

14日に阪神競馬場で行われる第77回阪神ジュベナイルフィリーズ。今年は珍しく、重賞勝ち馬が不在。とはいえ、同条件で行われる桜花賞につながるということで、来年のクラシックを占う意味でも、大事な一戦なのは間違いない。

そんな阪神JFにはどんな傾向があるのか。ここでは過去10年の成績を基にしてデータ検証していきたい。

☆所属
美浦4勝(10連対)、栗東6勝(10連対)。連対馬の数は互角だが、勝率、連対率、複勝率のいずれも美浦所属馬が上回っている。

出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆キャリア
勝ち馬10頭、連対馬18頭がキャリア2戦か3戦。特に2戦組の好走確率の方が高くなっている。一方、キャリア5戦以上の馬はすべて馬券外に沈んでいる。

出走馬のキャリア,ⒸSPAIA


☆前走クラス
勝ち馬10頭中、9頭が前走でGⅢを走っており、残る1頭はオープンだった。また、前走1勝クラス組からは勝ち馬こそ出ていないが、2着馬が5頭出ている。前走未勝利組は全く結果が出ていない。

出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA


☆主な前走
主な前哨戦は過去10年で出走頭数30頭のアルテミスSと同34頭のファンタジーS。前者が1着馬5頭、2着馬2頭を出しているのに対し、後者は1着馬2頭、2着馬0頭。ここではアルテミスS組をプラスデータとしたい。

出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆前走着順
前走1着馬が15連対と、圧倒的な強さを見せている。勝ち馬が出ているのは前走2着まで。前走4着、もしくは6着以下からは連対馬が出ていない。

出走馬の前走着順,ⒸSPAIA


☆前走着差
前走1着馬の中でも、0.3秒差以上で勝った馬は、0.2秒差以内で勝った馬よりも好走率が高くなっている。一方で前走2着以下の馬は、0.3秒差以上で負けると勝ち馬が、0.6秒差以上になると連対馬がいなくなる。

出走馬の前走着差,ⒸSPAIA


☆前走人気
前走1番人気が5勝と強いが、前走6、7番人気馬も計3勝を挙げているように、前走着順ほど極端なデータではない。ほか、前走3~5番人気は勝ち馬が出ておらず、8番人気以下はすべて馬券外だった。

出走馬の前走人気,ⒸSPAIA


☆前走馬体重
勝ち馬10頭すべてが、前走馬体重460~499kgの間だった。

出走馬の前走馬体重,ⒸSPAIA


☆前走の位置取り
前走の3コーナー通過順位が9番手以下の馬からは勝ち馬が出ておらず、11番手以下だと1頭も馬券に絡めていない。本番では差し・追い込みも決まっているのだが、少なくとも前走の位置取りが後ろ過ぎる馬には厳しいレースとなっている。

出走馬の前走3角通過順,ⒸSPAIA


大半が割引データで脱落

今回の登録馬に該当するデータをまとめていく。

【好走率アップ】
A「美浦所属」
B「キャリア2戦」
C「前走アルテミスS」
D「前走0.3秒以上勝ち」
E「前走1番人気」
F「前走馬体重460~499kg」

【勝ち馬なし】
G「キャリア1戦or4戦」
H「前走オープンorGⅢ以外」
I「前走3着or5着」
J「前走0.3差以上負け」
K「前走3~5番人気」
L「前走馬体重459kg以下」
M「前走3角9番手以下」

【連対馬なし】
N「キャリア5戦以上」
O「前走未勝利」
P「前走6着以下」
Q「前走0.6秒以上負け」
R「前走8番人気以下」
S「前走3角11番手以下」

最初に、プラスデータを勝率順に並べてみる。結果は以下の通り。

プラスデータ勝率順,ⒸSPAIA


今回はやたらとマイナスデータが多くなってしまい、案の定、ほとんどの馬が何かしらに引っかかっている。潜り抜けたのはスターアニス(EF)だけだった。該当のプラスデータにしても、勝率順ではそれぞれ3、4番目と上々。今年の本命としたい。

ここからは相手探し。勝ち馬が出ていない「G~M」を含む馬も対象として検討する。プラスデータを連対率順に並べると、以下のようになる。

プラスデータ連対率順,ⒸSPAIA


プラスデータを2つ以上持つのは、以下の7頭。

・アランカール(BDE)
・アルバンヌ(AF)
・サンブライト(AF)
・タイセイボーグ(CF)
・ヒズマスターピース(ADF)
・マーゴットラヴミー(BD)
・ラスティングスノー(AF)

このうち、連対率が10%台と下位の「A」「B」「F」しか持たないアルバンヌ、サンブライト、ラスティングスノーは除外する。

連対率上位のデータは1位がD「前走0.3秒以上勝ち」で、2位はC「「前走アルテミスS」、3位がE「前走1番人気」。アランカールは最多タイの3つに当てはまり、さらに2つが連対率上位のもの。相手筆頭とする。

同じくプラスデータを3つのヒズマスターピースは、連対率1位の「D」を持ち、さらに2着馬が5頭出ている前走1勝クラス組でもある。これを3番手とする。

残ったタイセイボーグとマーゴットラヴミーの比較では、連対率1位の「D」に当てはまるマーゴットラヴミーを上に取りたい。

◎スターアニス
◯アランカール
▲ヒズマスターピース
△マーゴットラヴミー
×タイセイボーグ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
長いこと悩まされていた尿管結石。もう少しで砕くか手術というところでしたが、ぎりぎりで解決。とはいえ、まだ腎臓に予備軍がいるみたいなので、油断できない日々が続きそうです。

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