【秋華賞】能力最上位で中団から常に堅実な末脚を使う 京大競馬研の本命は隙のないカムニャック

京都大学競馬研究会

秋華賞 上がり3F5位以内馬の成績(京都開催の直近10回)

ⒸSPAIA

追走力とメンバー最上位の末脚が求められる舞台

10月19日(日)に秋華賞(GⅠ)が行われる。今年もあっという間に3歳牝馬の三冠目を迎えた。オークス馬にして前哨戦ローズSを快勝したカムニャックをはじめ、桜花賞馬エンブロイダリー、京都で衝撃のデビューを果たし何とか三冠目に間に合ったダノンフェアレディなど、世代を代表する実力馬18頭が揃った。

以下では、本レースが行われる京都芝2000mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは京都芝2000mのコース形態をみる。正面スタンド前直線からスタートし、初角までの距離は約300m。平坦な1~2コーナーを回り、約400mの向正面は半ばから高低差3.1mの上り坂となっている。

その後は内回りコースを使用し、3コーナーを頂点として一気に下る。最後は中央4場の中で中山競馬場に次いで短い328m(Aコース使用時)の平坦な直線が待ち構えている。これが今回のコースレイアウトだ。

まず注目すべきは初角までの距離は約300mと比較的短い点だ。先手争いは長続きせず、最も加速する2F目にはコーナー、向正面には上り坂があるため前半のペースは落ち着きやすい。

ただし秋華賞に限ってはひと味違う。注目すべきはメンバーのローテーション。秋華賞は2000mで施行される。そのため、例年、桜花賞後にNHKマイルC等のマイル路線へ進んだ馬など、1600m、1800mから距離延長で出走してくる馬も多い。これがコース形態以上に序盤のペースに大きな影響力を持つ。

マイル戦で難なく先行してきた馬が揃って序盤から競る形になれば、ペースが上がりにくいコース形態など関係なくハイペースとなる。

これを裏付けるように、秋華賞(京都開催の直近10回)において1000m通過が60秒を切らなかったのは2023年のみ。他9回は全て57~59秒台で流れていた。具体的な展開予想は次章で行うが、このことは秋華賞の大きな特徴として押さえておきたい。

このように序盤、中盤で淀みないラップを刻むため、先行負荷はそれなりに大きい。先行勢が十分なリードを作れない状態で最終直線を向かえることがほとんどだ。

先行勢が粘り込むには、3~4角でリードを保つための早仕掛けから持続力勝負に持ち込むしかない。しかしそれまでの負荷もあり、持続力勝負を得意としない馬や、地力のない馬は直線半ばでいっぱいになる。

したがって、道中は中団~後方を追走し、メンバー最上位の上がりを使うことができる地力の高い差し馬が順当に好走しやすい。これが秋華賞のレースの質だ。

秋華賞の上がり5位以内馬成績,ⒸSPAIA


<秋華賞 上がり3F順位別成績>
上がり5位以内【10-8-7-28】
勝率18.9%、連対率34.0%、複勝率47.2%、単回率82%、複回率152%
※京都開催の直近10回

この傾向は数字にも表れている。秋華賞における上がり3F5位以内馬の成績は上記の通り優秀だ。馬券に絡んだ30頭中25頭、連対馬20頭中18頭を該当馬が占めている。どの位置から競馬をする場合でも、メンバー上位の末脚を使うことが好走の必須条件だ。

また、同時に必要とされるのは追走力。どんなに強烈な決め手を持っていても、中央4場の中で中山競馬場に次いで短い328mの平坦な直線で、最後方から一気に差し切るのは至難の業だ。

これまでの勝ち馬を見ても4角5~9番手の中団前目から末脚を使う競馬がベストだ。ハイペースでも中団を追走できる追走力も重視したい。

さらに今年は例年と異なり、開幕から2週目ではなく、3週目のAコースで施行される。地力の高い差し馬が順当に好走しやすいレースの質はより強まる。ここにも注意して印を打っていく。

ハイペース必至の先行馬構成

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が7頭と、出走馬全18頭に対してそれなりに多い。

NHKマイルCを前半600m33.4秒で逃げたヴーレヴー、前半1000m57.4秒の京成杯AHで先行したエリカエクスプレスなど、近走でハイペースを難なく先行した馬が中心となり、先手争いを繰り広げれば、間違いなくハイペースで流れる。

この展開で恵まれるのはやはり道中中団~後方を追走し、メンバー上位の末脚を使うことができる地力の高い差し馬だ。同時に例年通り、追走力も問われる展開になるだろう。

後方脚質の距離短縮は後ろ過ぎて差し届かず、先行脚質の距離延長は最後まで脚が残らない。この展開も踏まえて印を調整する。

能力最上位で堅実な末脚を使う

◎カムニャック
前走ローズSは前半1000m56.8秒の超ハイペースを6番手で先行。外目を回して上がり3F3位の脚を使い、2着に0.2秒差で快勝した。

展開不利ながらも別格の能力で前哨戦を勝利。2走前のオークスはまさに地力が試される展開で上がり3F2位の脚を使い、世代最強の実力を示した。

ローズSを快勝したが、この秋華賞が目標であるのは明白。安定した追走力で常に中団から堅実な末脚を使える本馬にとって、中団からの差しが最も恵まれる展開はベストに近い。叩き2走目の今回、前走よりも状態を上げて能力を最大限に発揮すれば、順当に好走してくる。

◯テレサ
ローズSで本命を打った馬。こちらも超ハイペースを5番手で先行し、最後はカムニャックに交わされる0.2秒差2着。着順、着差以上に評価できる内容だった。2走前は世代屈指の牡馬相手に完勝の内容で、3走前は差す競馬もできる能力の高さを見せた。

想定オッズはカムニャック比較で最も妙味が見込める。本馬よりもテンが速い先行馬が揃った今回、自然と中団からの差しに回る形で地力を発揮できれば好走可能だ。

▲パラディレーヌ
前走ローズSは直線で前が全く空かず、スムーズに追い出せない不利があり0.5秒差8着。その中でも最後に空いた一瞬の伸びは強烈で、0.5秒差はむしろ評価できる着差だ。

上がり3F4位の脚を使い0.3秒差4着だったオークスの内容を見ても、世代屈指の実力を持つことは確か。前走の敗戦で高いオッズ妙味が見込まれる。

△ジョスラン
前走の紫苑Sは1、3着に内前を立ち回った馬が来るなか、4角5番手から上がり3F3位の脚を使いタイム差なし2着。京都替わり、ハイペース替わりは間違いなくプラス材料だ。

×エンブロイダリー
オークスのスローペースで掛かりに掛かった本馬にとって序盤から流れる展開はプラス材料。距離短縮を生かし、桜花賞で見せた持続する末脚を中団から発揮できれば好走可能だ。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△馬連3点、◎-◯▲-◯▲△×3連複5点で勝負する。

▽秋華賞予想▽
◎カムニャック
◯テレサ
▲パラディレーヌ
△ジョスラン
×エンブロイダリー

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。

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