【府中牝馬S】上位人気の先行馬が好走、後方勢には注意 東大HCの本命はタガノエルピーダ
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東京開催の締めくくり
日曜日、東京競馬場でGⅢ・府中牝馬Sが行われる。昨年下半期にエリザベス女王杯2着やチャレンジC制覇と活躍したラヴェル、前走都大路Sを0秒5差で快勝したセキトバイースト、愛知杯2着で復調の兆しを見せたシングザットソングなど14頭が出走予定だ。
4月後半から2か月続いた東京開催の締めくくりに、難易度の高いレースが用意された。昨年までのマーメイドSを名称変更したレースだが、阪神芝2000mから東京芝1800mへコースも大幅な変更となり、マイル戦線から参戦してくる馬も多い。従来のマーメイドSと、例年同時期に東京芝1800mで施行されていたエプソムCのデータを参考に検討する。
前脚質有利

<エプソムCの脚質別成績>
逃げ
【1-1-3-5】
勝率10.0%/連対率20.0%/複勝率50.0%
先行
【4-4-2-27】
勝率10.8%/連対率21.6%/複勝率27.0%
差し
【5-4-5-61】
勝率6.7%/連対率12.0%/複勝率18.7%
追込
【0-1-0-38】
勝率0.0%/連対率2.6%/複勝率2.6%
前走4角5番手以内で今回5番人気以内
【3-2-4-8】
勝率17.6%/連対率29.4%/複勝率52.9%
※2015~24年
前述の通り、まずは昨年までのエプソムCから脚質の傾向をつかんでいきたい。
直線が長い舞台ながら前有利と言える数字で、逃げ馬の半数が馬券圏内に残っている。一方で追込馬は【0-1-0-38】とほぼノーチャンス。上がり最速馬も【4-2-0-8】と半数以上が馬券圏内に届かなかった。
前走脚質で見ても、逃げ【2-0-3-12】、先行【1-4-4-22】はどちらも複勝率が3割程度ある一方で、差しは複勝率2割、追込にいたっては5%にも満たない。4角位置でいうと、前走時に5番手以内だった馬が8連対。特にこのレースで5番人気以内だと【3-2-4-8】で半数以上が馬券絡み。人気の先行馬は必ず押さえておきたい。
対照的に、前走4角10番手以下が【2-2-0-44】、13番手以下が【0-1-0-27】。ミアネーロやウンブライルが該当する。ラヴェルも後方脚質ということで評価を落としたい。
脚質以外の前走データでは、同コース(東京芝1800m)組が最多の7連対。今回はカナテープがこの臨戦過程をとっている。
格上挑戦組の成績は?

<マーメイドSの前走クラス別成績>
2勝クラス勝利
【1-1-2-12】
勝率6.3%/連対率12.5%/複勝率25.0%
3勝クラス勝利
【1-2-1-8】
勝率8.3%/連対率25.0%/複勝率33.3%
※過去10年
続いてマーメイドSの傾向を探る。ハンデ戦ということもあり、格上挑戦がハマるケースが多い。昨年も2勝クラス勝利から臨んだアリスヴェリテが斤量50kgで逃げ切り勝ちを収めた。今年もハンデは51kgから56.5kgの幅があり、無視できないファクターだ。
前走2勝クラス勝ち馬は【1-1-2-12】。3番人気以内になった馬がいないことを考えるとなかなかの好成績と言える。軽斤量と先行脚質がマッチして、前走逃げ先行だと【1-1-2-8】となる。前走0秒5差で快勝し、今回52kgのカニキュルには要警戒だ。
前走3勝クラス組は【6-4-1-45】。例年は出走数の多いゾーンとなっている。勝ち馬は【1-2-1-8】、2着馬は【0-0-0-6】と全滅しているが、3、4着馬は【4-2-0-11】だ。
こちらは前走差し追込から5連対と、前に行く馬以外も結果を出している。牡馬混合の3勝クラスでしのぎを削ってきたカナテープにはチャンスありだ。阪神牝馬Sでタイム差なし3着があるラヴァンダは、前走シドニーTが2分5秒0の決着。同日同コースの未勝利戦(2分1秒1)より4秒近く遅かった。雨が降って稍重になったとはいえ遅く、この展開を押し切れなかった点は気になる。
前走がOP以上だった馬は全体で【3-5-7-59】。前走5着以内【2-2-3-20】複勝率25.9%に対し、6着以下【1-3-4-39】同17.0%とそこまで大きな差がない。着順は気にすることなく、先行脚質の馬を選ぼう。
好走条件合致、先行して勝利を
◎タガノエルピーダ
秋華賞後、条件戦に戻ってからの内容が優秀。嵯峨野Sでは0秒1差の2着。勝ち馬オールナットはその後大阪城S3着などオープンでも活躍しており、3、6、10着馬が3勝クラスを突破(6着馬はカナテープ)した。斑鳩Sでは阪神牝馬S勝ち馬サフィラらを抑えて勝利。前走の阪神牝馬Sは内枠を生かして距離ロスなく回ったにしては案外な結果であったが、上がり3Fは33秒6と決して遅くない。おそらく高速決着が苦手なだけだろう。過去のエプソムCを見ても速い上がりは求められない傾向で、今回は条件が合う。好位先行から残り切る。
◯カニキュル
2走前同コースで行われた2勝クラスを評価している。当日は10Rや11Rで外枠勢が上位を占めた外有利馬場の中、最内を突いて上がり最速。現オープンのシヴァースに詰め寄った。やはりというべきか次走の2勝クラスは0秒5差の圧勝。今回は格上挑戦となるが、重賞ではフローラSの3着があり、東京は得意舞台。52kgを生かして立ち回れば一発があってもおかしくない。
▲カナテープ
23年10月に2勝クラスを勝ってからオープン入りまでに8戦を要したが、その間全て6着以上と上位はキープ。昇級初戦とはいえこのメンバーなら実力は見劣りしない。懸念点は脚質。先行策をとったこともあるものの、勝利した前走は4角10番手での競馬で差し有利の展開が噛み合った。その意味で今回は条件が悪化する。差し切れない可能性があると考え、3番手に留めた。
以下セキトバイースト、フィールシンパシー、アスコルティアーモまで印を回す。馬券は◎軸の馬連で勝負する。
▽府中牝馬S予想▽
◎タガノエルピーダ
◯カニキュル
▲カナテープ
△セキトバイースト
×フィールシンパシー
×アスコルティアーモ
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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