【日本ダービー】皐月賞5着以内×今回2番人気以内は複勝率70%超 本命はミュージアムマイル
東大ホースメンクラブ

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競馬の祭典・日本ダービー
6月1日、東京競馬場でGⅠ日本ダービーが行われる。2歳王者で皐月賞では単勝1倍台の支持を受けた2着クロワデュノールに、それに勝利したミュージアムマイル、3着マスカレードボールら皐月賞上位馬が再び矛を交える。別路線組からは3戦3勝で毎日杯を制したファンダムや京都新聞杯勝利のショウヘイなども参戦した。
2022年生まれのサラブレッド最強を決めるレースがついに開幕する。果たしてその栄誉を得るのはどの馬なのか。過去10年のデータから検討する。
皐月賞好走馬から誰を軸とするか

<日本ダービー 前走皐月賞組の条件別成績>
5着以内【6-8-5-27】勝率13.0%/連対率30.4%/複勝率41.3%
<皐月賞5着以内馬のうち>
前走4角3番手以内【0-1-1-11】勝率0.0%/連対率7.7%/複勝率15.4%
乗り替わり【1-0-0-11】勝率8.3%/連対率8.3%/複勝率8.3%
ダービー2番人気以内【3-6-2-3】勝率21.4%/連対率64.3%/複勝率78.6%
例年、皐月賞好走馬がダービーでも順当に結果を残しており、軸はそこから選ぶのがセオリーとなっている。今年は皐月賞が上位から順に3、1、4、7、2番人気と堅い決着で、その5頭が全て参戦。彼らがダービーでも信用に足るかを考えていきたい。
前走皐月賞組のうち、5着以内馬は【6-8-5-27】。全着順【7-9-7-74】複勝率23.7%(※皐月賞除外のダノンデサイルは除く)と比べると当然ながら好走率が高い。以下、皐月賞5着以内馬についてデータを掘り下げる。
まず脚質面では先行していた馬が苦戦。前走時4角3番手以内だった馬が【0-1-1-11】。直線が長いコースに替わって、後続に追いつかれやすくなるのだろう。これと関連して、前走上がり3F6位以下【0-2-2-12】も厳しい。皐月賞で4角2番手、上がり8位だったクロワデュノールは、今回も同じ競馬をするならば危険だ。
騎手が乗り替わるケースも【1-0-0-11】とほとんど結果を残せていない。唯一の好走例は23年のタスティエーラ(松山弘平騎手→D.レーン騎手)。その好走例を作ったレーン騎手が騎乗するミュージアムマイルはまだしも、マスカレードボールには疑問符がつく。
逆に好走が多いデータも見ていく。ダービーで4番人気以内なら【6-8-2-10】、2番人気以内だと【3-6-2-3】複勝率78.6%まで高まる。馬券圏外の3頭も全て4着と安定感抜群だ。また、皐月賞馬はその着差が0秒1差以上なら【2-3-1-1】、0秒3以上なら【0-2-0-0】となる。今回はミュージアムマイルを軸に考えていきたい。
キャリア数データの鵜呑みは危険

<日本ダービー キャリア別成績>
3戦【1-3-0-10】勝率7.1%/連対率28.6%/複勝率28.6%
→東京経験なし【0-0-0-5】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%
6戦【0-0-3-24】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率11.1%
→2番人気以内【0-0-2-0】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率100.0%
近年は直行ローテが増えた影響で、キャリアの少ない馬が好走しやすくなった3歳春クラシック。ただし今年は額面通りにいかない部分がある。
まずミュージアムマイルが該当するキャリア6戦は【0-0-3-24】。一見してかなり絶望的な数値ではある。しかし内訳を見ると「ダービー出走に必要な賞金、権利獲得に何走もかかった馬」……簡単に言えば人気薄が多く、有力馬が少ないことが原因。2番人気以内だと【0-0-2-0】。キャリア7戦以上で唯一5番人気以内に推されたサトノラーゼンも2着に入った。そのためミュージアムマイルに減点の必要はない。
反対に複勝率が最もいい「キャリア3戦」組にも注意が必要。4年連続で連対馬を輩出しており、今年も3戦3勝馬ファンダムが注目されている。しかしキャリア3戦のうち、東京コース経験馬【1-3-0-5】に対し、経験なしだと【0-0-0-5】。人気馬でも24年シックスペンス(3番人気9着)や18年キタノコマンドール(3番人気12着)が撃沈した。毎日杯を勝って無傷の3連勝で臨んだ馬では他に22年ピースオブエイト(12番人気18着)もいる。
他の上位人気馬と未対戦の魅力もあって人気を集めそうだが、思い切って消しとしたい。
二冠目に向けて
◎ミュージアムマイル
皐月賞が100点満点の騎乗。先行策を取った朝日杯FSと異なり中団につけると、弥生賞のようには動かず我慢して、直線でスパートをかけ見事な差し切り勝ち。ダービーでも通用すると思わせる走りだった。
皐月賞で逃げたピコチャンブラックが不在で、ファウストラーゼンのマクリ次第ではあるもののスローペースの可能性が例年よりも高い。後ろすぎると届かないリスクがある。一方で、前述のように皐月賞で先行していた馬は振るわない傾向もある。上位人気のうち、位置取りが最も適しているのはこの馬だ。朝日杯FS2着馬ではあるが、本来は中距離向きの馬で、距離は全く問題ない。
◯クロワデュノール
ホープフルSを快勝して迎えた3歳初戦の皐月賞は、そのホープフルSと同様中団から徐々に位置取りを上げて2着。安全策が災いした印象を受けた。
皐月賞の4角で先団につけていた馬の成績はすこぶる悪い。東京コースでは東スポ杯2歳S勝ちの実績があるものの、当時はスローペースで前有利の展開に恵まれた。直線が長いコースに替わる今回は前走時より評価を下げたい。
▲ジョバンニ
2歳時にエリキングに2度敗れたが、その際は位置取りの差で見劣っただけ。ホープフルS2着は内枠の利があったり、若葉Sがクビ差1着であったりという要因から皐月賞は7番人気に甘んじたが4着と健闘。向正面で不利を受け、4角ではミュージアムマイルのさらに外を回ったことを考えれば着順以上の価値があった。
過去にGⅠで「上がり2位以内での連対歴」がある馬は【4-3-4-12】複勝率47.8%、人気薄でも2度の3着がある。引き続き人気がないならば狙う価値が十分ある馬として印を打った。
以下、マスカレードボールに印を回す。馬券は◎単勝と、◎軸の馬連とする。
▽日本ダービー予想▽
◎ミュージアムマイル
◯クロワデュノール
▲ジョバンニ
△マスカレードボール
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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