【きさらぎ賞】能力の高さが問われるガチンコ勝負 京大競馬研の本命は世代屈指の素質馬ショウヘイ

京都大学競馬研究会

きさらぎ賞の上がり3F4位内の成績(京都開催の直近10回)

ⒸSPAIA

能力が順当に発揮されやすい条件

2月9日(日)にきさらぎ賞(GⅢ)が行われる。東スポ杯2歳S2着サトノシャイニングをはじめ、朝日杯FS3着ランスオブカオス、京成杯3着ミニトランザット、シンザン記念3着ウォーターガーベラなど、全10頭の少頭数ながら既に世代限定重賞で好走している実力馬が集結。混戦模様で難解な一戦となった。

以下では、本レースが行われる京都芝1800mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは京都芝1800mのコース形態をみる。向正面2コーナーポケットから発走し、初角まで約900m(Aコース使用時)。向正面半ばから緩やかに上り、3コーナーで頂上を迎え、4コーナーにかけて一気に下る。最後の直線は404m(Aコース使用時)で平坦となっている。これが今回のコースレイアウトだ。

まず注目すべきは初角までの距離が約900mと非常に長い点だ。基本的に初角までの距離が長いコースは序盤の先手争いが長引き、序盤のペースが上がりやすい。しかし、ここまで長いと控える騎手心理が働くのか、このコースに関しては前半のペースがそこまで上がらない。

また本レースは世代限定の中距離戦で、スローペースからの瞬発戦を勝ち上がってきた馬が多い。この点からも序盤は比較的落ち着きやすい。今回のような少頭数であればなおさらだ。

ペースアップするのは3コーナーの頂上から。ここから4コーナーにかけて下り坂になるため、一気に加速していく。通常であれば、序盤で脚を溜めた先行勢が先に加速していき、直線に入るまでに後方勢が先行勢とのポジション差を埋めにくいため、そのまま先行勢が押し切るケースが多い。

しかし、本レースのような少頭数かつ世代限定の中距離戦は全馬が楽に追走でき、馬群が縦長になりにくいペースで序盤は流れる。そのため、コーナーに入るまでに先行勢と後方勢のポジション差が生まれにくい。つまり、3コーナー頂上から最終直線にかけて全馬ほぼ同じ位置からのロングスパート戦になりやすい。

したがって現時点での能力が順当に発揮されやすく、ラスト3~4Fのロングスパート戦で長く良い脚を使い、速い上がりでまとめることができる馬が恵まれやすい。これが今回のレースの質だ。一言で言えば、強い馬が順当にその強さを発揮することができる条件だ。

きさらぎ賞、上がり4位以内馬の別成績,ⒸSPAIA


<きさらぎ賞 上がり3F4位以内馬の成績(京都開催の直近10回)>
【10-8-8-17】勝率23.3%、連対率41.9%、複勝率60.5%、単勝回収率180%、複勝回収率130%

この傾向は数字にも表れている。きさらぎ賞(京都開催の直近10回)における上がり3F4位以内馬の成績は上記に示した通り優秀だ。馬券内の30頭中26頭を占めている。

ロングスパート戦で速い上がりを使えること、すなわち現時点で高い能力を有していることが本レースで好走するための絶対条件と言い切っていい。

逆に、地力がなく速い上がりを使うことができない馬の前残りは皆無である。とにかく現時点での各馬の能力を比較し、これを最重要視して印を打っていく。

ロングスパート戦で能力が発揮されやすい展開

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が5頭と、出走馬全10頭に対し半数を占める。

ただ、前述の通り序盤のペースは上がりにくいコース形態であり、各馬がこれまで経験してきたペースを考えれば、全馬が楽に追走できる可能性が高い。よって馬群が縦長になりにくいペースで流れるとみる。3コーナーからのロングスパート戦で、能力が順当に発揮されやすい展開を想定する。

世代屈指の素質馬

◎ショウヘイ
前走の2歳未勝利戦は先行勢壊滅の展開を4角4番手から楽な手応えで2着に0.4秒差をつけ快勝。ノーステッキでラスト4F12.4-11.9-11.5-11.5のラップを差し切った。まだ能力の底を見せておらず、次走以降の上積みに期待できる走りだった。

衝撃だったのは新馬戦。1000m通過63.8秒という超スローペースからの瞬発力戦であったとはいえ、時計が出にくい馬場でラスト4F12.5-11.1-11.1-10.9という超加速ラップを記録。勝ち馬マディソンガールと直線で抜け出す形で競り合い0.1秒差2着だった。

京都芝1800mの2歳新馬戦で「走破時計1:49.5以内」かつ「上がり33.5秒以内」で走った馬は、勝ち馬と本馬以外にダービー馬マカヒキ、GⅠ・2勝エピファネイアらわずか3頭のみ。

また、京都芝1800mの2歳戦でレース後半4F45.6秒、3F33.1秒は共に歴代最速。勝ち馬がマークした上がり33.0秒も京都新馬戦史上歴代最速で、相手が強すぎただけの敗戦だった。

マディソンガールは今年のクラシック主役級の逸材であるが、その馬と0.2秒差の上がり33.2秒を使って着差0.1秒に迫り、3着を着差0.9秒離した本馬も間違いなく世代屈指の素質馬だ。

キャリア2戦を今回と同条件で走っていることに加え、鞍上も川田将雅騎手の継続騎乗と心強い。メンバー最上位の能力を発揮できれば勝ち負け必至とみて本命を打つ。

◯サトノシャイニング
前走の東スポ杯2歳Sは好スタートから逃げる競馬。1000m通過60.9秒のスローペースから瞬発力戦でポジション差のアドバンテージがあったとはいえ、上がり3F4位33.5秒の脚を使って粘り0.1秒差2着。それなりに評価できる内容だった。

勝ち馬クロワデュノールが次走ホープフルSを楽勝しているようにレースレベルも十分に高かったとみる。前走からの上積みという点では大きな期待はできないが、前走内容から今回のメンバーでは能力上位、ここは買わなければいけない一頭だ。

▲ランスオブカオス
前走の朝日杯FSは前半600m35.4秒のスローペースで1、2、4着に4角4番手以内の馬が来る前残りの展開。そんな展開を4角10番手から外を回って追込み、0.8秒差3着。着順、着差以上に評価できる内容だった。

朝日杯FS出走馬の次走以降の成績を見ても今回のメンバーでは能力上位。また位置取りが後方になりがちな本馬にとって距離延長はプラス。前走の展開不利での敗戦でオッズ妙味も見込まれる。

買い目は◎単勝1点、◎-◯馬連1点、◎-◯-▲3連複1点で勝負する。

昨年は10番人気◎ウォーターリヒトを本命。ハナ差2着で単勝28.4倍は取り逃すも馬連、3連複万馬券を的中した思い入れのあるレース。今年は恐らく上位人気からとなるが、少点数で単勝から3連複までしっかりと総取りする。(花田)

▽きさらぎ賞予想▽
◎ショウヘイ
◯サトノシャイニング
▲ランスオブカオス

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。


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