【AJCC】実績最上位で高い先行力を持つ 東大HCの本命はダービー馬ダノンデサイル

東大ホースメンクラブ

AJCC4角通過順位別成績(過去10年)

ⒸSPAIA

春のGⅠを目指して

今週日曜は中山競馬場でGⅡ・AJCC(アメリカジョッキークラブカップ)が行われる。昨年のダービー馬で有馬記念3着のダノンデサイル、同コース重賞2勝のレーベンスティール、昨年の勝ち馬チャックネイトなど、フルゲート18頭が出走予定だ。

例年通り、春のGⅠ戦線に向けて有力古馬が本格的に始動する一戦となった。そして今週は4年半ぶりのWIN5キャリーオーバーということもあり、特に勝ち馬をしっかり見極めたいレースとなる。過去10年のデータから予想していく。

ポジション取りが明暗を分ける

AJCCの別成績,ⒸSPAIA


<AJCC 4角通過順別成績>
1番手【1-0-1-8】勝率10.0%/連対率10.0%/複勝率20.0%
2〜4番手【8-5-3-22】勝率21.1%/連対率34.2%/複勝率42.1%
5〜9番手【1-4-6-37】勝率2.1%/連対率10.4%/複勝率22.9%
10番手〜【0-1-0-43】勝率0.0%/連対率2.3%/複勝率2.3%

AJCCは直線の短い中山ということもあり、前有利の決着になりやすい。4角位置で見ると、勝ち馬9頭が4番手以内、残りの1頭も8番手。10番手以下はほぼノーチャンスという状況となっている。

これは前走脚質を見ても同じ。前走先行馬は【6-5-2-30】複勝率30.2%、差し馬【2-4-6-39】同23.5%、追込馬【1-1-2-29】同12.1%。後方脚質になるほど好走率が下がる。ビザンチンドリームやアラタといった追込一辺倒の馬には合わないレースと言える。

またコスモキュランダは主にマクリを打つ競馬をしており、同コースのセントライト記念は2着だったものの、前走の中日新聞杯やダービーなどは4角順位よりも着順が下だった。今回は先行馬が多く、ペースも遅くはならないと考える。いつものようにマクるとさすがに脚が残らないのではないか。

もちろん、前走先行できなかった馬でもここで先行する可能性はある。そういった馬はチェックしておきたい。ボルドグフーシュは復帰戦のチャレンジCで前半1000m58秒台の流れを経験しており、先行できないとは決めつけられない。

また前走がGⅠだったレーベンスティールもその前のオールカマーでは3番手から競馬をしていた。なお、前走天皇賞(秋)からの巻き返しは23年ノースブリッジの例がある(11着→1着)。

前走先行馬についてもう少し詳しく見てみよう。全体成績は【6-5-2-30】で、前走が重賞だと【5-4-1-22】、そこで2着以内だと【2-2-0-4】(3、4着馬はデータなし)と結果を出してきた馬の方がやはり信頼できる。

このデータに厳密には該当していないが、中山金杯で先行して3着だったボーンディスウェイ、逃げて有馬記念3着のダノンデサイルは傾向に沿う。

また、前走先行して大敗した馬からしばしば穴が出ている。今回は中日新聞杯9着エヒトを推奨する。前走は10か月ぶりで斤量59kgを背負い、前半1000m58秒台のペースをしっかり先行できた。勝ち馬デシエルト以外は差し馬が上位を独占しており、着順であまり悲観する必要はない。

実績、先行力ともにメンバートップ

◎ダノンデサイル
菊花賞は隊列の変化が激しく位置を下げたが、本来は好走データと重なる先行脚質。有馬記念は1枠1番を生かしての逃げ。最後はGⅠ馬2頭に差され3着だったが、菊花賞馬アーバンシックなどの強豪に先着し、意地を見せた。

今回は距離短縮となる上、GⅠ馬は長期休養明けのポタジェだけと相手も緩和される。またAJCCの傾向としても4歳馬が【2-4-2-15】で連対率トップ(26.1%)と若さがモノを言う。

調教師の「重苦しさが見受けられる」というコメントは確かに不安だが、少なくとも前走の力を出せればここでは格が違う。

◯ボーンディスウェイ
中山金杯は不利な8枠から先行馬最先着の3着。昨年からハンデ2kg増だったが順位を上げ、パワーアップを印象付けた。

2走前のオクトーバーSの時計も優秀。重賞以外の東京芝2000mで1分57秒4以内だったのはジャックドール(のちに大阪杯勝ち)と先週の日経新春杯を制したロードデルレイなど全4例しかない。

2000m超えのレースは久しぶりだが、AJCCは距離延長組も問題なく走れており、特に前走重賞で先行していた馬は【3-3-1-9】複勝率43.8%の好成績だ。

▲レーベンスティール
根幹距離(2000m、2400m)【0-0-0-3】に対し非根幹距離【5-2-1-0】という特徴的な戦績。中山芝2200mは重賞2勝でコンプリートに王手をかけている。

重賞2連勝で迎えた天皇賞(秋)は8着。上がり3F33秒2と末脚は悪くなかったが、東京で一流馬相手だと分が悪かった。今回は得意コースに戻って見直せる。

ただしオールカマーとは相手も変わる。当時はアウスヴァールのスロー逃げによる前残り決着を制した形。今回も同様の形になれば嬉しいが、ダノンデサイルら先行馬が多い。ハイペースになる可能性を考慮して3番手とする。

以下、エヒト、ボルドグフーシュ、マテンロウレオまで印を回す。馬券は◎単勝と、◎軸の馬連で勝負する。

▽AJCC予想▽
◎ダノンデサイル
◯ボーンディスウェイ
▲レーベンスティール
△エヒト
×ボルドグフーシュ
×マテンロウレオ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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