【オーシャンS】ヴェントヴォーチェが強い内容で重賞2勝目　9着ナランフレグも悲観不要

2023/03/06 06:00

SPAIA編集部

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この記事のレース

夕刊フジオーシャンＳ

GⅢ

3月4日(土)　中山11R

タートルボウル産駒の個性

2023年オーシャンステークスを勝ったのはタートルボウル産駒のヴェントヴォーチェ。これで昨年のキーンランドCに続いて重賞2勝目となった。

日本におけるタートルボウルの代表産駒といえばタイセイビジョン、トリオンフ、ベレヌス、あとはダート短距離の追い込みで沸かせた個性派ビックリシタナモーもその1頭だ。やや器用さに欠けるものの、自分の武器は確立されていて、歯車がかみ合ったときには強烈な走りを見せる。ヴェントヴォーチェの戦歴はまさにそんな血統の特徴を体現している。

レースは内から主張するオパールシャルムと、断固として引かないレイハリアが競り合うスタート。そこにジャスパージャックや1番人気ジュビリーヘッドらが加わった6頭の集団が先行する。それを見るように2つ目の馬群の前目で脚を溜めたヴェントヴォーチェは、直線を待たずして4コーナー大外から馬なりで進出し、あとは独り舞台。後続を2馬身離してゴールした。

着差がつきにくい短距離戦、中山芝1200mの古馬OP以上で0.3秒の着差を付けた馬は、直近5年ではナックビーナス、グランアレグリア、ジャンダルム、ピクシーナイト、そしてヴェントヴォーチェだけ。文句なしの強い走りだった。

しかしながら、昨年・春雷Sでも3馬身差勝ち、走破時計1.06.8、ラスト11.3-11.1という数字を叩き出したあとにGⅢで掲示板にも載れない2連敗があったことも無視できない。GⅠ級の爆発力を持ちながら、安定して常に走るタイプではない。圧勝後はちょっと疑い、大敗後には悲観しない、そんな付き合い方がいいのではないか。

例年と違う馬場？

時計の針を1週前に戻そう。先行有利のデータが顕著だった中山記念は今年、4角8番手タイにいたヒシイグアスとラーグルフのワンツー。珍しい差し決着になった。翻ってオーシャンSも、追い込みが決まらない例年の傾向をあざ笑うかのように外差し勢が上位を占めた。平場のレースを見ていても、今開催の中山芝は人気薄含めて差しがよく届く。このトラックバイアスは来週以降、皐月賞まで続く中山競馬のキーポイントになりそうだ。

まして、オーシャンSの施行時はスタート地点で係員が持つ旗が強く左にたなびいており、4角～直線にかけてフォローになる、差し馬有利の風も吹いていた。馬場状態と風。この2つに恵まれなかった先行集団は、リードを保ったまま直線に向くことが叶わず。ちょっとツキのないレースになってしまった。

ナランフレグも及第点

2着ディヴィナシオンは単勝15番人気での大激走。内で溜めて外へ出す、シンプルだが展開と枠をキレイに利用した菅原明良騎手の好騎乗だった。戦前に予想するのは難しかったが、2走前ラピスラズリSでは大外を回って上がり最速、0.3秒差の6着など、浮上する余地がなかったわけではない。末脚は確かで、今後も差しが届く条件が整えば警戒が必要だ。

3着エイシンスポッターは鞍上ともども初の関東圏ながら健闘。シルクロードSで3着だったマッドクールとの対戦関係からしてすぐGⅠだとまだ荷が重そうだが、自身が晩成だったエイシンヒカリの子、サマースプリントシリーズあたりでもう一段パワーアップできれば秋は面白い。

5着に敗れたジュビリーヘッドは、自分より前の先行勢が4角で既に失速気味だったのが痛かった。その集団をパスするために外へ切り返し、進路を確保したときには既にヴェントヴォーチェらに追いつかれていて、先行した利を失っていた。とどめに、直線ではキミワクイーンに進路をカットされるような場面もあった。中山適性にケチが付く内容ではなく、これもなんとか賞金を積んで秋には間に合わせたい。

ナランフレグはGⅠを見据えたであろう＋15キロ。出遅れ、直線もあまりスムーズに捌けなかった。9着といっても59キロを背負って、2着とはわずか0.4秒差。高松宮記念連覇に向けて、上々の……とは言わないまでも、及第点の始動戦だったと評価する。