【朝日杯FS】内枠のノーザンファーム産馬が走る 京大競馬研の本命はドンデンガエシ

京都大学競馬研究会

朝日杯FSインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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ノーザンファーム産1強状態、4連覇中で勢い止まらない

12月18日(日)に阪神競馬場で朝日杯FS(GⅠ)が行われる。ダノンザキッドの弟ダノンタッチダウンや、デイリー杯を制したオールパルフェ、サウジアラビアRCの覇者ドルチェモアなどマイル重賞を戦った馬たちが今年も集結した。

昨年は戦前から、当時重賞2勝だったセリフォスを筆頭にハイレベルと言われており、上位5頭中4頭がGⅠを制覇、掲示板外から2頭の重賞馬が出るなど予想以上の活躍を見せている。今年も昨年のメンバー並の活躍を期待したいところだ。まずはここで、来年走る馬をきっちり見極めたい。


過去8年朝日杯FS生産牧場別成績,ⒸSPAIA


2歳GⅠは仕上がりが命。まずは阪神開催に変わった2014年以降8年分の生産牧場別成績を今年の出走馬に注目して調べた。やはりノーザンファーム生産馬は非常に強く【5-4-2-22】。出走頭数33頭、複勝率33.3%、勝利数5と、どれをとっても他牧場を圧倒している。現在4連覇中で勢いは留まるところを知らず、繁殖牝馬の質と量がモノをいう2歳戦はこの牧場の最も得意とするところである。大きく離された2位も同じ社台グループの社台ファームで【1-1-1-10】。悪くはないが、こちらは2016年サトノアレス以降馬券入りがなく不調で、今はノーザンファームの独壇場になっている事が分かる。

その他、大牧場では下河辺牧場、ノースヒルズなどから複数出走馬が出ているが、馬券にはなっていない。また今年の出走馬の生産牧場を見てみると、ここまで名前を挙げた4牧場以外は過去8年で朝日杯に馬を送り込んだ実績がなかった。ノーザンファームは早めに馬を仕上げるノウハウと良血牝馬を輸入する資金力を何十年とかけて備えてきたため、簡単にその牙城は崩せなくなっている。今年のノーザンファーム産馬はコーパスクリスティ、ダノンタッチダウン、ドンデンガエシの3頭。全て印を回しておきたい。


社台グループ以外から栄冠を掴むためには内枠必須

過去8年朝日杯FS枠別成績,ⒸSPAIA


次に過去8年の枠順別成績を調べた。距離ロスの少ない1枠が【3-1-0-10】と勝ち馬を最も輩出する好枠となっている。複勝率が最も高いのは4枠で【1-2-2-11】の31.3%。中山では死に枠だった8枠も【2-0-0-16】と勝ち馬2頭を輩出し、外不利とも言い切れないようになっている。

ただし5枠よりも外から連対した5頭は全て社台グループ生産馬であった。さらに近4年の勝ち馬は4、3、1、5枠から出ており、先述したように全てノーザンファーム出身。つまり社台グループ以外の馬がチャンスを得るためには内枠が必須で、しかも内枠にノーザン馬が入ると他は太刀打ちが出来ないということが分かる。

強い馬が極端でない枠に入ると順当に走る典型例で、印の打ち方としては内枠ノーザン馬を最優先に、外枠ノーザン馬と内枠その他牧場産馬を力量比較することが良いと考えられる。

朝日杯FSの枠順別成績,ⒸSPAIA

唯一内枠に入ったノーザン産馬 人気馬を全てひっくり返す

◎ドンデンガエシ
中山で走った前走は逃げて後ろを完封。札幌で勝った2走前は先行して早めに抜け出す、どちらも競馬センスの高さを感じる強い内容。2歳馬としては脚質の幅が広いのが強みで、逃げ候補が多く極端なスローペースは考えにくい今回、自在性のある競馬で好位抜け出しを図れたら通用するものがある。念願の内枠で、内側がまだ生きている今の馬場であれば、イン突きを決めてアタマまであり得る一頭。重賞級の陰に隠れて人気がなさそうで、どんでん返しが叶う。

◯ダノンタッチダウン
重賞含む2戦とも33秒台の末脚で強さを見せており、特に前走、展開が全く向かないなかを唯一追い込んだのは見事。しかし外に出してからなかなかエンジンがかからず差し損ねたものでもあり、新馬戦も外を回す競馬で今回も外枠。今まで同様の外回しだと届かない。スローの流れしか経験しておらずハイペースに対応できるかも不明で過剰人気気味。過去2戦の教育で馬の成長があれば当然上位には入るが、勝ちきるよりも取りこぼす可能性の方が高いと考え2番手。

▲ニシノベストワン
33秒台の末脚を使って勝ち上がった馬は何頭かいるが、この馬も33.7の末脚を使っており末脚は重賞馬と遜色ないものがある。ハイペース対応はカギになるがギリギリ馬場の内側を利してごまかせる9番枠。乗り方に工夫が要る。

△レイベリング
内伸び馬場だった東京の新馬戦を外から豪快に差し切る。阪神JFで2着したシンリョクカの新馬と同様の競馬だった。シンリョクカ以上を期待したいが、外枠に入ったのは痛い。

×ドルチェモア
前走は展開が向いていた中での勝利。ハイペースに耐えられるかなどの懸念もあり、人気ほどの能力は感じない。

×グラニット
大逃げ枠。人気もないため、後ろ不発で残る可能性あり。

×コーパスクリスティ
ノーザンファーム生産馬。外枠から距離不安を払拭できるかどうか。

馬券はドンデンガエシの単複、◎◯軸の馬連11点で勝負する。正直なところ、競走データに乏しい2歳戦は1つの競走から読み取るべきことが多く苦手で、GⅠ以外やらないのが筆者の信条だ。少ない資金で抑えて来週に貯めておきたい。(文:福山)

朝日杯FS 予想印
◎ドンデンガエシ
◯ダノンタッチダウン
▲ニシノベストワン
△レイベリング
×ドルチェモア
×グラニット
×コーパスクリスティ

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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