【2歳馬ジャッジ】ジェイパームス、フリームファクシはGⅠ馬兄姉に劣らぬ素質 クラシック戦線での活躍に期待

山崎エリカ

11月1週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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11月1週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は兄にGⅠ馬キラーアビリティを持ち、新馬戦を好内容で勝利したジェイパームス、レース中に不利がありながら勝ち切ったフリームファクシなどが出た、11月5、6日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

11月5日(土) 東京4R 優勝馬 シュタールヴィント 指数-6 評価A
前走の新馬戦では1番人気の支持を受けたシュタールヴィント。母は桜花賞馬マルセリーナ。半兄に重賞レースで大活躍中のラストドラフト、ヒートオンビートがいる超良血馬だ。

前走は4番枠からスタートでモタつき、外の馬と接触し中団待機策。3~4角の中目で包まれ、直線序盤では完全に進路がない状態。後方2番手まで下がって、大外に持ちだすロスがあったため、結局前には届かず4着に敗れた。

今回はデビュー2戦目。今回は6番枠から好発を決め、2番手で流れに乗ることができた。最後の直線では逃げ馬を早めに交わして先頭、そこから後続を引き離して2着馬に3馬身差をつけての勝利。とても強い内容で、競馬ぶりとしてはほぼ満点だった。

ラスト2Fは11秒2-11秒4でやや減速はしたが悪くない。新馬戦でロスがあり能力を出し切れなかったことも、キャリアの若い時点で無理をしなかったことになる。将来を考えれば成長の芽を摘まず、今後は順調な成長が期待できそうだ。この馬も兄たち同様に、重賞戦線で活躍していく馬になるのだろう。

11月5日(土) 東京5R 優勝馬 ジェイパームス 指数-6 評価AA
7番枠から好発を切って、先頭を窺う勢いで最初のコーナーに向かっていったジェイパームス。いったん先頭に立ったが、内から抵抗してきた馬を行かせて、2番手の外で折り合う優等生の競馬。向正面ではさらに控えて2列目の2番手。3~4角では再び逃げ馬との差を詰め4角では先頭列。直線ではじわっと早めに先頭に立ち、ラスト1Fで完全に抜け出すと、そのまま2着馬に3馬身差を付けて勝利した。

ラスト2Fは11秒3-11秒1。好位でレースを進め、最後までしっかり伸び続けた内容は新馬戦としては完璧だった。ラスト1Fが11秒0まで行けばGⅠ級と言っていいが、理想に少し足りなかったところは、今後の成長に期待といったところか。この馬は一つ上の半兄がホープフルS勝ち馬のキラーアビリティ。兄同様に大活躍が期待できる馬だ。

11月6日(日) 東京5R 優勝馬 レッドロスタム 指数-4 評価A
7番枠から好スタート&好ダッシュを決め、先頭集団横並びからじわっと先頭に立ったレッドロスタム。コントロールしながらの逃げとなった。レースはそのまま淡々と流れ、直線での加速比べ。ラスト3Fを11秒1-11秒2-11秒3とほぼ減速することなく、2着馬に2馬身差をつけて逃げ切った。

自らレースを作って最後までほぼ減速せず勝利した内容は着差以上に価値が高い。逃げなければ持ち味が生かせないタイプでもなさそうだ。次走、折り合う競馬で上昇が期待でき、そこでクラシック通用レベルかどうか占えそうだ。いずれにしても、かなり上まで行くだろう。

11月5日(土) 阪神3R 優勝馬 ダルエスサラーム 指数-3 評価B
前走7月小倉のヤクシマが勝利した新馬戦は、ラスト2Fが11秒3-11秒1という強烈な加速比べ。ダルエスサラームの上がり3Fタイムは出走メンバー中2位、瞬発力の高さを見せながらも3着までだった。

今回はデビュー2戦目。スタートは前走と比較すれば良かったが、今回もやや出遅れて中団中目から。しかし、前走よりは前から離されずに追走できた点に進化が見られた。最後の直線で外に出されると一気に加速して前を捕らえ、ラスト1Fで先頭に立つとそのまま押し切った。ラスト2Fは10秒8-11秒3。減速はしたが悪くない。まだまだ良化の余地を感じるレースぶりだけに、今後の成長が楽しみだ。

11月5日(土) 阪神6R 優勝馬 キレナイカ 指数-11(ダート) 評価B
新馬戦からブリンカーを着用してきたキレナイカ。大外9番枠からやや出遅れたが、気合いをつけられると前に上がって行き、3番手外からの競馬となった。本馬は他の馬たちよりも一回り大きく、目立つ馬だった。

3角手前で前を行く馬との差を詰め、2番手のヨリノサファイヤにプレッシャーをかける。我慢できなくなった同馬は早めに動き4角先頭の競馬、直線ではマッチレースとなった。最後の最後にキレナイカが差し切りゴールしたが、3着馬に8馬身差、4着馬には大差をつけてのマッチレースだった。

ラスト2Fは11秒9-12秒1と悪く、今回キレナイカが記録した指数は古馬1勝クラス勝ちレベルに準ずるものだった。今後のダート路線で活躍が期待できるだろう。今回わずかの差で2着だったヨリノサファイヤも指数優秀、並の新馬戦なら勝利当確レベルだった。レースも自ら動き好内容だっただけに、未勝利クラスはすぐに突破するだろう。

11月6日(日) 阪神1R 優勝馬 ドゥラリアル 指数-12(ダート) 評価A
ドゥラリアルは新馬戦では大外12番枠からの発走。スタートで出遅れ、外々へ行くロスがあった。そこから上がっていき1角では外を回る大きなロス、そんな中を向正面で一気に動き、先頭列に並びかけていく競馬を見せた。普通なら大敗してもおかしくない内容も2着を死守。今回どんな競馬をするか楽しみにしていた。

今回は4番枠だったこともあり、スタートは前走ほど酷くはなかったが、やはり出遅れた。前走よりはレースの流れに乗れてはいた。しかし、押して加速がつき始めると行きたがり、1角ではやや折り合いを欠いた。鞍上が抑え込むよりも行かせたほうがいいと判断したのか、向正面では早々に先頭に立つ競馬。

そこからは自らのペースでレースを進め、最後の直線では独走。直線半ばでは苦しくなったのか、内にモタれてラチ沿いまで切れ込む場面もあったが、結果は9馬身差の圧勝だった。指数は古馬1勝クラスレベルのものを記録。まともなレースをしていないだけに、能力の天井はもっと上だろう。ロスなくレースができるようになれば、かなり上が目指せそうだ。

11月6日(日) 阪神3R 優勝馬 フリームファクシ 指数-8 評価AA
ラスト2F11秒3-11秒3のハイレベル好指数決着となった前走の東京新馬戦で、自らレースを作り2着惜敗だったフリームファクシ。この新馬戦では3着グリューネグリーン、4着ニシノプロポーズが次走の未勝利戦をかなり優秀な指数で勝利。当然ながら、2着馬である本馬が今回どのような勝ち方をするか注目していた。

今回は1番枠から五分のスタートを切り、そこからコントロールして控える競馬。行きたがってやや折り合いを欠き、頭を上げる場面もあったが、すぐに中団で折り合った。3~4角では手応えよく徐々に前との差を詰め、4角で外に出したところで前の馬が突然躓くアクシデント。本馬もフットワークを乱して減速することになった。しかし、そこから立て直され外に持ち出されると、豪快なフットワークで楽に前を捕らえて突き抜けた。

今回もラスト2Fは11秒3-11秒3と減速せず。指数も未勝利クラスとしてはかなり優秀なもの。今回はアクシンデントもあり、まだ能力を出し切っていないだろう。今後のクラシック路線での活躍が楽しみだ。

11月6日(日) 阪神5R 優勝馬 ノーブルクライ 指数-5 評価B
1番枠から好スタートを決め、好位の最内で流れに乗ったノーブルクライ。4角では逃げ馬の直後まで位置を上げて直線へ。外から蓋をされ、外に持ち出すのにやや手こずる場面もあったが、進路を確保すると前を目標にジワジワと伸びた。結果は2着馬に4馬身の差をつける快勝だった。

新馬戦としてはなかなか優秀な指数を記録しての勝利。ただラスト2Fは11秒6-11秒8と減速。自らが強烈に伸びたというより、前がバテたという内容だった。それでもレースぶりが優等生で、スタミナの豊富さを感じさせた。ジワジワと頭角を現わす馬になりそうだ。

11月6日(日) 福島2R 優勝馬 ミルトクレイモー 指数-8 評価B
新馬戦では後にサウジアラビアRCを勝利するドルチェモアの3着。次走の未勝利戦では後にデイリー杯2歳Sで3着となるショーモンの2着。そして前走の未勝利戦では6着という成績のミルトクレイモー。今回はデビュー4戦目、ここまで戦ってきた相手を考えれば、ここでは実績が一枚上と言えた。

今回は女性減量騎手起用で斤量51Kg。3番枠からスタートを決めるとそのまま逃げの手に出て、前半3F33秒5のハイペースで大逃げの形。最後は2着馬に詰め寄られたが、3着馬には5馬身半差をつけて勝利した。

本馬は芝1400mの前走はトップスタートを切りながらも距離を意識して折り合う競馬で能力を出し切れなかった。しかし今回は、芝1200mでスピードを生かす競馬をし強かった。後続馬をバラバラに入線させての逃げ切り勝ちで、指数も1クラス上で通用するレベル。能力を出し切れる形になれば、上でも楽しみな存在となりそうだ。

2022年11月1週目の2歳馬PP指数,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ジェイパームスの指数「-6」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.6秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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