【デイリー杯2歳S】好タイムで制したオールパルフェ 高いポテンシャル見せるも折り合い課題残す

SPAIA編集部

2022年デイリー杯2歳Sのレース結果,ⒸSPAIA

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スローペースの逃げ切り

2022年11月12日に行われたデイリー杯2歳S。過去にはアドマイヤマーズやエアスピネルらが勝ったマイル路線の登竜門的な2歳重賞を、今年はオールパルフェが制した。デビューから3戦いずれも逃げの戦法で2勝。これで賞金を加算し、年末~3歳春のGⅠ戦線に、事実上確実に出走可能となった。

レースは大外枠から五分のスタートを切り、二の脚で先行。エミサキホコルやショーモンらも競ってまで行く姿勢ではなく、手綱をがっちり抑えて折り合いをつけにかかる。それならばと、オールパルフェ鞍上の大野拓弥騎手も手綱を抑えつつ、ジワジワとハナを奪い、いつものこの馬の形に持ち込んだ。譲り合うような序盤の入りで、前半600m通過35.3秒は確かにスローペース。各馬折り合いを乱したくない2歳戦、少頭数は得てしてこういう流れになりがちだ。だが、スローの前残りはつまらない、と後から責めてみても仕方ない。そこまで織り込んで予想するしかない。

2番手のショーモン、道中でやや行きたがった3番手クルゼイロドスルあたりも引き付ける形で直線に向いたオールパルフェだったが、GOサインが出るとあっという間に後続を突き放して一時は2~3馬身ほどのリードをとる。最後は大外からダノンタッチダウンも飛んできたが、この末脚を半馬身振り切って優勝。今年は海外修行も経験した大野騎手は4月のダービー卿CT(タイムトゥヘヴン)以来の重賞制覇。同一年に複数のJRA重賞を勝つのはスプリンターズSを制した2014年以来となった。

かなり優秀な時計とラップ

展開に恵まれた感じもあったオールパルフェだが、走破時計1.33.2はかなり優秀。2歳のマイル戦で1.33.2以下の決着は過去11レースしかなく、その勝ち馬延べ11頭のうち、上がり3F34.2秒以下だったのはウオッカ、サリオス、レッドベルオーブ、ソダシという面々。数字の面ではGⅠ級といってよさそうだ。まして、この日は他の芝レースを見ても特段馬場が速かったわけではなく、その点も価値が高い。

課題はやはり折り合い。逃げずに競馬ができるか、ということだろう。今回も促さずに2F目11.0とスピードが出ているように、前進気勢は強い。GⅠで未経験の控える競馬、もしくは競られる形となれば、いきなり結果を出すのは難しいのではないか。このまま逃げ馬としてスタイルを確立していくのか、それとも脚質転換を図るのか。今後に要注目だ。

猛追したダノンタッチダウン

2着ダノンタッチダウンは出負け気味のスタートから後方へ。勝負所での反応はあまり速くなかったが、大外一気に上がり33.1秒の鬼脚で追い上げてきた。半兄ダノンザキッドを筆頭に気性の難しい馬が多い血統だが、こちらは引っかかるというよりはズブさがあるタイプに映る。ロードカナロア産駒だが、距離が延びても面白いのではないか。

5着に敗れたクルゼイロドスルは道中で折り合いを欠いたとはいえ、それにしても伸びなかった。直線は右にモタれる感じで、いまひとつ走り切れず。デビューから2戦、左回りで見せたパフォーマンスはよかったので、素直に左回り替わりで再度狙いたい。例年であれば牡馬が出られる左回りのマイル重賞はこのあとNHKマイルCまでないが、ラッキーなことに来年まではシンザン記念が中京で待ち受けている。


2022年デイリー杯2歳Sのレース展開,ⒸSPAIA



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