【秋華賞】オークスからの直行組が4連覇中! スターズオンアースが快挙達成だ

門田光生

秋華賞の前走着順別成績(過去15年),ⒸSPAIA

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2、3着荒れに注意

2022年10月16日に阪神競馬場で行われる第27回秋華賞。過去を振り返ると、第4回ブゼンキャンドル(12番人気)、第5回ティコティコタック(10番人気)、そして第13回ブラックエンブレム(11番人気)と人気薄で勝った馬の名前が見られる。特に、3連単で1000万馬券が出た第13回の印象が強烈で、「荒れるGⅠ」というイメージを持っているファンも多いかもしれない。

しかし、実は上記で挙げた回以外はいずれも5番人気以内の馬が勝利。しかも、1番人気が8勝、2番人気も8勝だから、むしろ1着馬に関しては順当勝ちの傾向が強い。ただし、2、3着馬は人気薄の馬が飛び込んでくることが少なくなく、特に3着馬は2008年プロヴィナージュ(16番人気)、そして2013年リラコサージュ(15番人気)と、超人気薄の馬が飛び込んで高配当をもたらしている。そんな秋華賞だが、果たしてどのような傾向があるのだろうか。今回もGⅠということで、過去15年のデータを基にして検証していきたい。

秋華賞出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆所属
出走頭数は美浦、栗東とも100頭を超えているが、栗東が21連対(11勝)に対して、美浦は9連対(4勝)と大きな差がついている。勝率も2倍以上の差があり、ホーム側が有利のデータが出ている。

秋華賞出走馬の前走着順,ⒸSPAIA


☆前走着順
勝ち馬15頭中、11頭が前走で2着以内だった。4着まで広げると、14頭が該当。前走で5着以下だった馬は【1-2-4-103】となり、勝率は1%を切ってしまう。

秋華賞出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
秋華賞出走馬の前走レース,ⒸSPAIA


☆前走クラスと主な前走
条件戦を経て連対した馬は2頭いるが、そこから勝ち馬は出ていない。オープン組は2014年のショウナンパンドラ(紫苑S)だけ。紫苑Sは現在GⅢ格付けなので、勝ち馬を探すなら、前走で重賞を使っていた組となる。

レース別で見ると、トライアルのGⅡローズSが16連対(7勝)と、ほかの路線を大きくリード。続いてGⅢに格上げされたあとの紫苑Sが6連対(2勝)、オークスが4連対(4勝)と続く。データ上はローズS組が圧倒的に有利に思えるが、実は4年連続でローズS組が連対しておらず、近年は風向きが変わりつつある。

代わりに台頭しているのがオークス組で、全4勝はここ4年で挙げたもの。また、紫苑S組も3年連続で2着。つまり、オークス-紫苑組の1、2着が3年連続で続いていることになる。昨年も書いた記憶があるが、近年の傾向を信じて、ローズS組は目をつむって消しという手もありだと思う。

秋華賞出走馬の前走人気,ⒸSPAIA
秋華賞出走馬のキャリア,ⒸSPAIA


☆前走距離、前走人気、キャリア
前走で1番人気に支持されていた馬が10勝と強さを見せている。逆に前走6番人気以下だった98頭からは勝ち馬が出ていない。

キャリアは10戦を超えていた57頭中、勝ったのは2017年のディアドラだけ。あまり走り過ぎているとよくない傾向のようだ。

秋華賞におけるその他のデータ,ⒸSPAIA


☆その他
その他で気づいたデータを挙げていく。まずはローテーションで、中2週以内で挑んできた馬24頭から1着馬は出ていない。また、前走でダートを走っていた馬から連対馬が出ていない。

最後に生産牧場。ノーザンファーム(NF)生産馬は最多の77頭が出走し、10頭が優勝。2位の社台ファームが出走60頭に対して2勝だから、いかにNF生産馬の勝率が高いかよく分かる。

大穴ならあの馬を

では、秋華賞のデータをまとめていこう。まず好走確率が上がるのはA「栗東所属」B「前走4着以内」C「前走がオークス、または紫苑S」D「前走1番人気」E「ノーザンファーム生産馬」。

好走確率が下がってしまうのはF「前走6番人気以下」G「キャリア10戦以上」H「中2週以内」、連対例がないのはI「前走がダート」。

秋華賞で最も重要視したいのは、やはり4年連続で勝ち馬を出しているオークスからの直行組だろう。今回はエリカヴィータ(6番人気、9着)、スターズオンアース(3番人気、1着)、ナミュール(4番人気、3着)、ピンハイ(13番人気、4着。現時点で除外対象)、プレサージュリフト(8番人気、5着)の5頭が登録。ここ4年の秋華賞馬の、オークスでの結果を調べると、2018年アーモンドアイ(1番人気、1着)、2019年クロノジェネシス(2番人気、3着)、2020年デアリングタクト(1番人気、1着)、2021年アカイトリノムスメ(2番人気、2着)。4頭ともオークスで高い評価を受け、そしてそれなりの結果を出した馬ばかり。

今回でいえば、スターズオンアースとナミュールがそれに該当。特にスターズオンアースはアーモンドアイやデアリングタクトと同じで、牝馬三冠がかかる一戦。先輩2頭はいずれもオークス直行から決めており、同じローテーションをたどるこの馬が三冠を達成する確率はかなり高いとみたい。

続いては3年連続で2着馬を輩出している紫苑S組。こちらも近3年の秋華賞2着馬を書き出すと、2019年カレンブーケドール(1番人気、3着)、2020年マジックキャッスル(6番人気、4着)、2021年ファインルージュ(2番人気、2着)。3年しかデータがないのもあるが、オークス組と違って少し傾向がつかみづらい。何かないかと思って3頭に共通点はないのか調べてみると、3頭ともにオークスに出走していた。今年でいえばスタニングローズとライラックがそれに該当し、この2頭は外せない。サウンドビバーチェはオークスが競走除外になってしまったので、残念ながら今回はノーマークとする。

人気薄で馬券圏内に来た例と似た傾向の馬がいないかを探してみると、面白そうな馬を発見。それがラブパイロー。【0-0-1-8】で連対確率0%のI「前走がダート」に該当するので重い印は打ちづらいが、2008年に16番人気で3着に粘りこんだプロヴィナージュ(関東オークス2着、前走がダート重賞)と、ここに至るまでの過程がよく似ている。2008年といえば、3連単で1000万馬券が飛び出た伝説の年。この馬を中心にして、3連系の馬券で夢を見るのも面白いかもしれない。

◎スターズオンアース
◯ナミュール
▲スタニングローズ
△ライラック
×ラブパイロー

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。 先週、鈴鹿でFIGPが行われました。お誘いを受けたのですが、スケジュールが合わず断念。こんな機会、めったにないので行きたかったのですが……。

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