【京都2歳S】豪快かつ繊細なマクり! ジャスティンロックVをもたらした松山弘平騎手の好騎乗
SPAIA編集部

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寒風吹きすさぶ阪神コース
京都2歳S当日の11月27日、阪神コースは最後の直線が向かい方向となる風が吹き荒れた。暦は師走を迎えようかという11月の最終土曜日、現地はさぞ寒かったことだろう。
この風は観戦していたファンにとってだけでなく、レースの結果にも影響があった。この日のレースはラスト1ハロンのラップが大きく落ち込んでいるものが多いが、かといって後方勢が差し届くわけでもない。12レース中11レースは4角5番手以内の馬が勝利。直線で差し馬の「いざ、ここから加速」という勢いを妨げる向かい風は、えてして前残りを生じやすく、追い風はその逆だ。覚えておいて損はない。
やや話は逸れたが、そんな気象条件の下で行われた京都2歳Sはジャスティンロックが優勝、デビュー3戦目で重賞初勝利を挙げた。
ハナか、そうでなくても好位にはつけると想定されていた1番人気のトゥデイイズザデイが出負け。こうなった2歳馬を無理に促していく武豊騎手ではなく、最後方からとなる。内枠からビーアストニッシドが逃げたが、10頭立て9番人気、ノーマークのこの馬をあえてつつく人馬もおらず、1000m通過62.8秒というゆったりとした流れで進んだ。
3番手につけたフィデルとは対照的に、トゥデイイズザデイ、キャンデセントの両人気馬、そしてジャスティンロックは後方から。スローを察してジャスティンロックの松山弘平騎手が3角から大外をマクっていき、そのさなかで同馬とライラックのそれぞれ小さい動きによってキャンデセントが躓くアクシデント。その直後にいたトゥデイイズザデイもスムーズな加速が叶わず、最後まで勝負圏内に加われなかった。
直線はしぶとく粘り込んだビーアストニッシドに対し、フィデルとジャスティンロックが食らいついて激しい追いくらべ。最初に動いたジャスティンロックが最後の最後まで脚を持続させて差し切り、ビーアストニッシドがきわどい2着争いに先着。フィデルは3着となった。
松山弘平騎手のファインプレー
さて、以下は京都2歳Sのラップタイム。
12.9-11.7-12.9-12.9-12.4-12.6-12.2-11.7-11.6-12.4
豪快に動いたようにも見えた松山弘平騎手とジャスティンロックだったが、それに反応してペースが上がった形跡は見られず、いわば「脚を使わずにマクる」ことに成功している。もっと強く進出していれば先行勢も抵抗して急激にピッチが上がり、先に動いた馬にとって厳しい消耗戦になっていただろう。
スローペースと先述の向かい風が重なり、結果的に4角出口で前にいた3頭での決着。直線を向くまでに前にとりついておきたいが、勝ち切るには自分の馬も脚を最後までもたせなければいけない。そんな繊細な騎乗を見事にやってのけた松山騎手のファインプレーが光る。その前提には「3・4角の内が荒れているので、そこで約5頭分外を回っても大丈夫」という馬場読みがあったのかもしれない。とにかく見事な騎乗だった。
2着ビーアストニッシドと3着フィデルはペースに恵まれた側だけに高い評価は難しいところ。フィデルに関しては新馬戦で単勝1.1倍に推された評判からすると、ちょっと物足りなかった印象を受ける。
内容が目立ったのは4着ポッドボレット。直線で外に出したところで大きく膨れてしまうロスがあり、前残りの中で唯一目立つ脚を見せた。ちょっともったいなかったが力はある。
上位人気だったトゥデイイズザデイは出遅れ、キャンデセントは躓く不利、ライラックは関西輸送で-10キロ。それぞれ見直したい要素もあるにはあるが、負けすぎた。クラシック候補という意味では一歩後退したか。
最後に、京都2歳Sの回顧という主旨からは外れるが、当日の全12レースでただ1頭、後方から差して勝ったのが3レース、2歳未勝利戦のハンス。4角11番手から内を突き抜けた。四位洋文厩舎に横山典弘騎手。昇級しても楽しみのありそうな馬で、こちらも動向には注目しておきたい。

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